研究課題/領域番号 |
17K09375
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
堀口 里美 福井大学, 学術研究院医学系部門, 学術研究員 (00595283)
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研究分担者 |
堀口 和秀 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (20377451)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 消化管運動 / カハール介在細胞 / c-kit / PDGF受容体α / 線維芽細胞 / 発現解析 / マウス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、腸炎疾患の回復期における消化管運動調節性細胞(カハール介在細胞;ICC)の再生に関わる増殖・転写因子の作用機序の解明である。前年度までの研究結果からTNBs投与2日目からTNBs投与5日目にかけて消化管の組織に回復が認められることからTNBs投与2日目とTNBs投与5日目に回復期筋層の遺伝子発現の変化に着目した。今年度は細胞増殖因子及び成長因子に関する分子動態の検定を行った。TNBs投与2日後、5日後、 およびコントロールとして未処理マウスか ら薬剤投与部(コントロールではそれに相当する肛門より4cm 近位部)の結腸を摘出・筋層を除去、RNAlaterに浸潤後、RNA抽出を行い、発現解析を行った。 細胞増殖に関わる因子としては、顕著に発現量が増加するkinase insert domain protein receptor (Kdr), tryptophan hydroxylaze 1 (Tph1), phospholipase A2、regenerating islet-derived 3 beta (Reg3b)、trombospondin, type I, domain 1 (Thsd1)に関してリアルタイムPCRによる発現解析を行った。その結果、kinase insert domain protein receptor (Kdr)はTNBs投与2日目と比較してTNBs投与5日目の筋層において約7倍、tryptophan hydroxylaze 1 (Tph1)は約4倍、phospholipase A2は約5倍、regenerating islet-derived 3 beta(Reg3b)は約4倍、trombospondin, type I, domain 1 (Thsd1)は約2倍の発現量の上昇を示した。また、成長因子としては、insulin-like growth factorなどに約5倍、islet-derived family, member 4に約6倍の高い発現量の上昇が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸炎疾患の急性期及び回復期をそれぞれTNBs投与2日目、TNBs投与5日目と定義したサンプルから、炎症急性期から回復期に関わる発現量の高い細胞増殖因子を候補遺伝子として挙げ、分子動態を示すことができた。研究の進行は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、候補として挙げられたTNBS投与後2日目と5日目の候補遺伝子群に関して、細胞組織学的同定を行う。また、マイクロアレイ解析の結果からTNBS投与後の3日目と4日目のサンプルにおいても、変動の見られる分子群が多数出てきた。これらの分子群の分子動態の精査のため、TNBS投与後、2, 3, 4, 5, 6, 7日後のマイクロアレイ解析を行い、遺伝子発現評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染状況拡大による実験中断の影響があり、薬剤投与マウスの作製に時間が掛かった。 次年度に引き続き、薬剤投与マウスの作製を行い、サンプル採取を行う計画とする。
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