研究課題/領域番号 |
17K09379
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
小笠原 一誠 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20169163)
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研究分担者 |
伊藤 靖 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90324566)
石垣 宏仁 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90432301)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カニクイザル / DSS腸炎 / 間葉系幹細胞 / IL-10 / BM-MSC |
研究実績の概要 |
カニクイザル にDSSを投与することで慢性腸炎急性増悪モデルを作成した。low dose (150mg/Kg/day)のDSSを2週間投与後に、high dose(250mg/Kg/day)のDSSを投与することで、コンスタントに腸炎を起こすことができた。 このDSS腸炎モデルに、MHCの一致したalloのiPS細胞由来の間葉系幹細胞(以下、iMSC)を静脈内投与し、DSS腸炎の治療を試みた。DSS投与2週間後に、これまでの報告に倣い、iMSC 5x10^6個をPBS 5mLに浮遊させた細胞液を1週間毎に2回静脈内投与し、投与前後での臨床症状、内視鏡所見、生検組織所見を比較して、治療効果を調べた。対象として、iMSCの代わりにPBS 5mLを投与した場合、骨髄から単離したAutoの間葉系幹細胞(以下、BM-MSC)を投与した場合と比較した。結果は、PBSを投与した場合と比べて、iMSCを投与した場合、BM-MSCを投与した場合のいずれにおいても腸炎の改善を認めなかった。 投与したiMSC、BM-MSCは、ともに間葉系幹細胞の定義を満たすマーカーを細胞表面に発現し、軟骨、骨、脂肪組織にそれぞれ分化することができたが、これまでの報告とは違い、抗炎症作用を持つサイトカインであるIL-10産生能が見られなかった。そこで、IL-10をレンチウイルスベクターで強制発現するiMSC(以下、iMSC-IL10)を作成し、DSS腸炎の治療を試みた。iMSC-IL10はin vitroにおいて多量のIL-10を産生しており、投与したカニクイザル の末梢血中においても多量のIL-10を産生した。しかし、iMSC-IL10を投与した場合においても、腸炎の改善は認められなかった。改善させられなかった要因としては、カニクイザルにおいて、BM-MSC、iMSC、iMSC-IL10ともに、従来報告されているMSCに比べ、in vivoでの免疫抑制機能が不十分だった点が考えられた。 またIL-10濃度がDSS腸炎を収束させるのには十分でなかった可能性、腸管における局所的なIL-10濃度の上昇を引き起こせなかった可能性なども考えられた。
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