研究実績の概要 |
我々は、UC DavisのKOMP (Knockout mouse project)(https://www.komp.org)からASIC4tm1a(KOMP)Mbpを購入したのちCre発現マウスとの交配によりASIC4-LacZレポーターマウス(ASIC4tm1b(KOMP)Mbp)を作製した。次にこの個体を用いASIC4の胎生期及び成体における発現をX-Gal染色で検索したところ、ASIC4が胎生期から消化管の筋間神経叢に発現していることを見出した。RT-PCR法によれば、胃や十二指腸ではその発現は弱く、空腸から遠位大腸にかけて強い発現を認めた。さらに腸管神経叢の種々のマーカー(neurofilament-H (NF-H), c-kit, GFAP, ChAT, nNOSやTRPV2)との二重染色を行い、ASIC4がNF-H, ChAT, nNOS, TRPV2と一部共発現していることが判明した。一方、ASIC4のノックアウトマウス(ASIC4tm1d(KOMP)Mbp)を作製して機能解析にも着手した。代謝ゲージ(Techniplast Japan, Tokyo)による1日あたりの尿量や糞量は野生型マウスとASIC4ノックアウトマウスで違いはなかったが、フェノールレッドによる消化管輸送能の実験において、ASIC4ノックアウトマウスでは、野生型に比べ、フェノールレッドの輸送が遅延していた。ASIC4は腸管運動の調節に何らかの役割を演じていることが示唆され、現在さらに解析を進めている。
|