研究課題
慢性炎症というストレスに対して、多くの臓器は生体防御のため細胞、分子レベルで変化が生じる。大腸および肝臓で、慢性炎症により発現が亢進したガンキリンは、炎症細胞において抗アポトーシス蛋白の発現を上昇させ、炎症の更なる増幅と発癌を促進する。一方で、小腸上部(空腸)でのガンキリンは大腸での炎症を抑制する働きがあることが明らかとなった。2種類の欠損マウス(Villin-Cre:Gankyrinf/f, Cdx2-Cre:Gankyrinf/f)を用いた実験により、ガンキリンは、主に空腸に存在するパネート細胞が産生する抗菌蛋白デフェンシンの発現を制御し、腸内細菌叢に影響を及ぼし大腸炎を抑制することを示した。実際、クローン病患者において、空腸でのガンキリンの発現の低い症例において、クローン病大腸病変を伴う頻度が高い。このように、炎症性腸疾患の病態において、腸内細菌叢を介する小腸大腸コミュニケーションが関与していることを明らかにした。ストレス応答蛋白heat shock protein (HSP) 27はさまざまなストレスに反応してその発現が亢進し、epithelial-mesenchymal transition (EMT) や活性酸素を制御する。とりわけ癌化ストレスに注目し、3種類の組織特異的なHsp27欠損マウスを用いて、大腸および肝臓においてHSP27がEMT関連分子を制御し発癌を制御することを明らかにした。またヒト組織を用いて、炎症性腸疾患の難治化および大腸癌の浸潤性・悪性度とHSP27との関連を見出した。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
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