研究課題/領域番号 |
17K09401
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小暮 高之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70400330)
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研究分担者 |
高橋 賢治 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (00736332)
嘉数 英二 東北大学, 大学病院, 助教 (20509377)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / 癌幹細胞 / エキソソーム |
研究実績の概要 |
化学療法に耐性をしめす進行肝癌の治療は困難を極める。この限界を克服するためには新たなアプローチで肝癌の生物学的特性を明らかにし、新規治療を確立することが急務である。化学療法耐性の主因である癌幹細胞とその微小環境は有望な治療標的である。我々はこれまでに、肝癌の癌幹細胞がEpCAM陽性分画に存在することを証明し、さらに、肝癌細胞がエキソソームを用いて機能性RNAを輸送することによりその微小環境を調節することを明らかにした。本研究では、肝癌幹細胞のエキソソームを介した微小環境の調節機構を解明し、介在する機能性RNAを同定する。このRNA分子の阻害剤(antisense RNA, siRNA)の抗腫瘍効果をマウス肝癌モデルで明らかにし、RNA創薬としての臨床応用をめざす基盤を確立することを目的とする。 肝癌細胞株PLC/PRF/5をセルソーターを用いてEpCAM陽性細胞、陰性細胞に分離回収し、超低接着表面加工のプレートに特殊培地を用いて培養した。EpCAM陽性細胞群はスフェロイド状の細胞集塊を形成が認められた。培地交換を3-4日ごとに行うことで、このスフェロイド状の細胞は、少なくとも2週間の培養が可能であった。一方でEpCAM陰性細胞では細胞集塊の出現はなかった。 培養上清中の微小粒子をアナライザーを用いて解析し、およそ80-120 nmのサイズのエキソソームと思われる微小顆粒の存在を確認した。 さらに、培養上清中から抽出キットを用いてエキソソームを回収し、RNA抽出が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞株ごとにEpCAM陽性画分の割合が大きく異なり、また、肝癌幹細胞のスフェロイド形成能も細胞株ごとにが異なりることが明らかとなった。スフェロイド状に長期培養できる条件は複雑と予想され、現時点で長期培養に成功したのはPLC/PRF/5でのみである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに遂行する予定だが、上記の理由で大幅な遅れが生じる場合は、解析する細胞株の種類を少数に絞る対応も必要となる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に予定していた肝癌幹細胞の分泌するエキソソームに特異的なRNA 分子を同定する網羅的検討をH30年に行うこととしたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は平成30年度の助成金と合わせて、肝癌幹細胞の分泌するエキソソームに特異的なRNA 分子を同定する網羅的検討に係る次世代シーケンスとlong non-coding RNAカスタムアレイの費用として使用する計画である。
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