研究実績の概要 |
精製した内臓脂肪組織(VAT)由来、皮下脂肪組織(SAT)由来アディポソーム(それぞれVAT-exo, SAT-exo)を、PKH26でラベルしHepG2肝細胞の培養上清に添加した。24時間後に両アディポソームが肝細胞内に取り込まれていることを確認した。これまでの実験で、アディポソームによって軽度のHepG2肝細胞の増殖抑制効果は認められたものの、VAT培養上清を直接HepG2肝細胞に投与したときに観察された高度のアポトーシスは再現されなかったため、アディポソーム除去分画を用いた実験を行った。すなわち、VAT, SAT培養上清を回収し、超遠心法で沈殿したexosomeを含むpellet以外の上澄を回収したもの(アディポソーム除去分画)、およびpelletから精製したexosome(アディポソーム)をそれぞれHepG2単層培養に添加した。24時間後に位相差顕微鏡で観察したところ、VAT-exo除去分画ではSAT-exo除去分画およびコントロール群に比し明らかな接着細胞数の減少、アポトーシスが観察された。一方、VAT-exo, SAT-exo群では形態学的な変化は認められなかった。以上から、VAT誘導性の肝細胞のアポトーシスは、アディポソーム以外の液性因子を介して誘導されていると結論づけた。VAT-exoにより、HepG2のFATP2の発現が亢進していることを免疫染色にて確認していたため、Western blottingを行い確認したところ、VAT-exo, SAT-exoによるFATP2発現の変動は認められなかった。
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