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2020 年度 実施状況報告書

HBV感染細胞の脂質クオリティ解析から展開する肝疾患治療の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K09403
研究機関順天堂大学

研究代表者

上野 紀子  順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90546631)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード脂質 / HBV / 質量分析計
研究実績の概要

2020年度は前年度までに構築した測定系を用い、ノンターゲット法による HBV 感染で変動する新奇脂質の探索を行った。サンプルは、キメラマウス由来ヒト化肝細胞へ HBV 感染させた12日後の細胞 (HBV d12) と、その対象として感染なしに12日間培養した細胞から Bligh & Dyer 法にて抽出した脂質画分を用いた。質量分析計 Vion IMS Q-Tof のnegative ion mode、HDMSE でデータを取得し Progenesis QI にて HBV 感染により変動のある分子を探索した。Progenesis QI の条件として、HBV d12 で増加する p <0.05、CV<20%、Max abundance>50、fold change >1.5 のピークを検討した結果、58 ピークが抽出された。このうち同定候補のない新奇脂質の候補となる 17 ピークを見出した。同様に HBV d12 で減少する分子の探索を行ったところ、124 ピークが抽出され、このうちデータベースの同定候補のない 40 ピークを見出した。同定候補のあるピークについて検証したところ、同定候補の分子について、これまで UNIFI のソフトウェアで解析し蓄積してきたデータと比較した際に妥当性に疑義があるピークが見られたため、Progenesis QI のパラメーターについて検証を開始したところである。
前年度までに発見した脂質分子とイオンモビリティの値 (CCS) との法則性については、文献報告値と実測CCS 値に差分があることがわかった。このCCS 値の差分は、実験回毎に正または負に全体的にシフトしているようにみえるため、相対的な関係性である本法則性の概念に影響しないと考えている。しかし論文投稿のためには安定した CCS の算出が必須と考え、その方法を現在検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ対応の為、軽微な風邪や喘息症状などでも自宅待機になり、緊急事態宣言も含め出勤できない日があるなどの要因から、遅延している。

今後の研究の推進方策

最終年度である今年度は、ノンターゲット法による HBV 感染による新奇脂質の発見を目指す。そのためにまず Progenisis QI による解析データと昨年度まで構築してきた UNIFI による解析データとの比較を行い、Progenesis QI の妥当性とパラメーターなど必要な修正を行う予定である。また、本研究の過程で発見したイオンモビリティ値の法則性について、安定的な運用が可能となるような方法を見出し、結果について投稿する予定である。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19 関連の事情により突然の実験計画変更が複数回発生したことによる実験そのものの遅延、および学会参加に関わる費用がオンライン開催等により軽減されたため。次年度はデータ処理のための統計ソフトや消耗品などに使用予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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