研究課題/領域番号 |
17K09404
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
神田 達郎 日本大学, 医学部, 准教授 (20345002)
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研究分担者 |
森山 光彦 日本大学, 医学部, 教授 (50191060)
松岡 俊一 日本大学, 医学部, 准教授 (80307842)
山本 敏樹 日本大学, 医学部, 助教 (50409009)
楡井 和重 日本大学, 医学部, 助教 (70350014)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ソラフェニブ / GRP78 / AR / 肝癌細胞株 / 膵癌細胞株 / c-Jun |
研究実績の概要 |
【目的・背景】現在進行肝細胞癌に対する全身化学療法に使用されている経口キナーゼ阻害薬ソラフェニブに対する奏功症例は比較的少ないことが知られている. 有効性の改善や治療が奏功する症例を見出すことは急務である. 本研究ではソラフェニブ耐性におけるc-Jun/AP-1を中心としたシグナル伝達経路を検討することを目的とした. 【方法】(1)肝癌細胞株PLC/RPF/5, HepG2.2.15, Huh6, Hep3B, HepG2, Huh7および膵癌細胞株Panc-1, SUIT-2にてソラフェニブ 10 μM (12時間)およびソラフェニブ 100 μM (24時間)を用いてそれぞれCell viabilityおよびアポトーシスを評価検討した.(2) Cell viabilityおよびアポトーシスはMTSアッセイおよびAPOPercentageアッセイ等を用いて検討した. (3) c-Junの他にGRP78およびARの影響についてsiRNAを用いて検討した. 【成績】(1) 肝癌細胞株ではソラフェニブ10 μM (12時間)で10~35%程度のCell viabilityの低下がみられた. 一方膵癌細胞株ではAPOPercentageアッセイを用いた検討ではソラフェニブ 100 μM (24時間)でも1%以下のアポトーシスしか観察されず, ソラフェニブに強い耐性を示した.(2)肝癌細胞株ではソラフェニブ処理によりc-Junのリン酸化と発現増加がみられ, siRNAの使用によりアポトーシスが増加した. (3)膵癌細胞株ではGRP78とARのダブルノックダウンでソラフェニブによるアポトーシスが増加することを明らかにした.【結論】c-Junは肝癌細胞株におけるソラフェニブ誘導性アポトーシス抵抗性に関与していたが, 膵癌細胞株ではGRP78とARがソラフェニブ誘導性アポトーシス抵抗性に関与していることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が所属研究機関を変更したため, 研究の進行がやや遅れている。肝癌細胞株でc-Junの発現上昇と共にソラフェニブ耐性が見られることを確認した。また 肝癌細胞株PLC/PRF/5、HepG2、HepG2.2.15にc-Jun強制発現ベクターおよびc-Junに対するsiRNAを遺伝子導入しソラフェニブ存在下、非存在下におけるアポトーシスについて比較検討したが、オートファジーに与える影響は検討初期段階である。今後更なる検討を加えたいと考えている。またc-Jun/AP-1シグナル下流でソラフェニブ耐性に関与する標的分子の同定が検討段階であり、今後検討する予定である。またmiR-122とソラフェニブ耐性の影響に関しても今後検討する。以上の結果を踏まえ、今後In vivoの検討も行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)肝細胞癌に対する新たなキナーゼ阻害薬としてレゴラフェニブやレンバチニブが本邦でも使用可能となった。c-Jun/AP-1がこれらの薬剤耐性に関与するかどうかを検討する。(2)プロモーター領域にc-Jun/AP-1結合配列をもつcyclin D1、MMP9、Osteopontin、 SIRT1、VEGF等の遺伝子発現がソラフェニブ抵抗性に与える影響を検討する。(3) miR-122とソラフェニブ耐性の影響を検討するため, Target-scanにてmiR-122が標的とするその他の分子についても検索し、c-JunおよびmiR-122の関連を検討し、miR-122の存在下、 非存在下においてソラフェニブ耐性を検討する。(4)ソラフェニブ存在下でARとc-Junが肝自然免疫に与える影響を検討する。(5)ソラフェニブ耐性におけるcancer-associated fibroblasts (CAFs)の役割を検証する。(6)マウスを用いてin vivoにおけるソラフェニブ投与時のc-Junおよびその下流分子の機能を検証しソラフェニブ耐性機序を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が所属研究機関を変更したため、 研究の進行がやや遅れ、次年度に使用する。今後以下のような研究計画を行いたいと考えております。(1)肝細胞癌に対する新たなキナーゼ阻害薬としてレゴラフェニブやレンバチニブが本邦でも使用可能となった。c-Jun/AP-1がこれらの薬剤耐性に関与するかどうかを検討する。(2)プロモーター領域にc-Jun/AP-1結合配列をもつcyclin D1、MMP9、Osteopontin、 SIRT1、VEGF等の遺伝子発現がソラフェニブ抵抗性に与える影響を検討する。(3) miR-122とソラフェニブ耐性の影響を検討するため, Target-scanにてmiR-122が標的とするその他の分子についても検索し、c-JunおよびmiR-122の関連を検討し、miR-122の存在下、 非存在下においてソラフェニブ耐性を検討する。(4)ソラフェニブ存在下でARとc-Junが肝自然免疫に与える影響を検討する。(5)ソラフェニブ耐性におけるcancer-associated fibroblasts (CAFs)の役割を検証する。(6)マウスを用いてin vivoにおけるソラフェニブ投与時のc-Junおよびその下流分子の機能を検証しソラフェニブ耐性機序を明らかにする。
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