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2017 年度 実施状況報告書

肝臓特異的ハイドロダイナミック法による核酸医薬送達と肝癌遺伝子治療法への応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K09408
研究機関新潟大学

研究代表者

上村 顕也  新潟大学, 医歯学系, 助教 (00579146)

研究分担者 寺井 崇二  新潟大学, 医歯学系, 教授 (00332809)
坂牧 僚  新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (40792289)
横尾 健  新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80750629)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード遺伝子治療 / ハイドロダイナミック遺伝子導入法 / 肝癌遺伝子治療 / 核酸医薬
研究実績の概要

本研究は、ハイドロダイナミック遺伝子導入法(HGD)を肝癌治療に応用するための方法論、抗腫瘍効果を学術的に検証するためのステップと位置づけ、HGDパラメーターの確立、治療遺伝子の選択、効果と安全性の検証、肝癌モデル動物に対する治療効果の検証を行うことを目的としている。本年度は、肝癌を合併する硬変肝を含む病的肝臓へ安全で有効な核酸医薬送達を行うために、HGDシステムのパラメーターの最適化、さらに腫瘍特異的に増殖制御作用を有する、遺伝子治療のための候補遺伝子の検証を行った。
1. HGDシステムを用いた、遺伝子導入時の時間、内圧曲線、注入量、速度などのパラメーターの最適化を行い、さらに硬変肝に対する効率的な遺伝子導入のために、HGD法と超音波を含むそのほかの非ウイルス性ベクターによる遺伝子導入法との併用などの方法論を検討している。また本研究の臨床応用に向けたステップとして新規HGDシステムの大動物における遺伝子導入効率の有用性と安全性を検証している。
2. 方法論の検証と平行し、腫瘍特異的に増殖制御作用を示す治療遺伝子の選択とその有効性、安全性の評価を行っている。これまでの検証で、細胞の蛋白合成を阻害し、細胞死を誘導する遺伝子X発現プラスミドの抗細胞増殖効果、蛋白合成阻害効果がin vitroの培養細胞の実験系で示唆された。そこで、肝癌モデルマウスを作製し、in vivoで腫瘍に対する治療効果を検証中である。
以上の成果は安全で再現性のある肝癌遺伝子治療法を構築するための基盤となる、と考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. 新規HGDシステムを用いて、肝癌遺伝子治療のためのパラメーターを検証することが可能であった。
2. 肝癌遺伝子治療のための候補遺伝子が検証でき、肝癌モデルマウスでの治療効果の検討が開始できた。
3 研究協力者である、仁科教授、大塚正人准教授より、研究の方向性について、適切なアドバイスを得ることが可能であった。
以上の点から、現時点で本研究が順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

平成30年度は29年度の結果に基づき、HGDによる肝癌遺伝子治療のための治療遺伝子を用いた肝癌モデルに対する遺伝子治療による抗腫瘍効果、安全性を評価する。具体的には、
1. 肝癌遺伝子治療のために検証を行なってきた抗腫瘍遺伝子を用いたin vivoのマウス肝癌モデルに対するHGDによる遺伝子治療効果を検証する。
2. 1の結果に基づき、更なる腫瘍選択性を担保するために肝癌で発現するAFP等のプロモーターを用いた腫瘍細胞特異的治療効果の評価をin vitroの細胞増殖の検討、及びin vivoでの検証により行なう。
3. 平成29年度に最適化したHGDーターによる抗腫瘍遺伝子を投与した際の正常細胞への影響を、多臓器不全の有無、生理学的変化など安全性の観点から評価する。また腫瘍特異的なプロモーターを使用した核酸医薬の安全性の評価を行う。以上の結果から、HGDによる肝癌遺伝子治療のための治療遺伝子を確立することが出来る。

次年度使用額が生じた理由

当該年度で使用する抗体や条件検討の情報を、研究分担者間で緊密に共有することで、当初予算よりも抗体購入費が減じたため、次年度に繰り越して使用することとなった。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] Efficacy and safety of pancreas-targeted hydrodynamic gene delivery in rats.2017

    • 著者名/発表者名
      Ogawa K, Kamimura K (contributed equally and corresponding), Kobayashi Y, Abe H, Yokoo T, Sakai N, Nagoya T, Sakamaki A, Abe S, Hayashi K, Ikarashi S, Kohisa J, Tsuchida M, Aoyagi Y, Zhang G, Liu D, Terai S.
    • 雑誌名

      Mol Ther Nucleic Acids.

      巻: 9 ページ: 80-88

    • DOI

      10.1016/j.omtn.2017.08.009

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Spontaneous regression of hepatocellular carcinoma: A mini-review.2017

    • 著者名/発表者名
      Sakamaki A, Kamimura K, Abe S, Tsuchiya A, Takamura M, Kawai H, Yamagiwa S, Terai S.
    • 雑誌名

      World J Gastroenterol

      巻: 23 ページ: 3797-3804

    • DOI

      10.3748/wjg.v23.i21.3797

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Transhepatic arterial infusion chemotherapy using a combination of miriplatin and CDDP powder versus miriplatin alone in the treatment of hepatocellular carcinoma: a randomized controlled trial2017

    • 著者名/発表者名
      Kamimura Kenya、Suda Takeshi、Yokoo Takeshi、Kamimura Hiroteru、Kanefuji Tsutomu、Tsuchiya Atsunori、Takamura Masaaki、Kawai Hirokazu、Waguri Nobuo、Yamagiwa Satoshi、Terai Shuji
    • 雑誌名

      BMC Cancer

      巻: 17 ページ: 322

    • DOI

      10.1186/s12885-017-3320-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Tumor markers for early diagnosis for brain metastasis of hepatocellular carcinoma: A case series and literature review for effective loco-regional treatment2017

    • 著者名/発表者名
      Kamimura Kenya、Kobayashi Yuji、Takahashi Yoshifumi、Abe Hiroyuki、Kumaki Daisuke、Yokoo Takeshi、Kamimura Hiroteru、Sakai Norihiro、Sakamaki Akira、Abe Satoshi、Takamura Masaaki、Kawai Hirokazu、Yamagiwa Satoshi、Terai Shuji
    • 雑誌名

      Cancer Biology & Therapy

      巻: 18 ページ: 79~84

    • DOI

      10.1080/15384047.2016.1276134

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Drug-eluting beads in hepatocellular carcinoma2017

    • 著者名/発表者名
      Abe Hiroyuki、Kamimura Kenya、Terai Shuji
    • 雑誌名

      Therapeutic Advances in Gastroenterology

      巻: 10 ページ: 337~338

    • DOI

      10.1177/1756283X16681710

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of Safe and Effective Hydrodynamic Gene Therapy for Liver Diseases - Effects of Fibrotic Tissue on Gene Delivery Efficiency2017

    • 著者名/発表者名
      Kenya Kamimura1, Yuji Kobayashi1, Hiroyuki Abe1, Takeshi Yokoo1, Masato Ohtsuka2,3, Hiromi Miura4, Guisheng Zhang5, Dexi Liu5, and Shuji Terai1
    • 学会等名
      第23回日本遺伝子治療学会
    • 国際学会
  • [学会発表] 肝硬変合併肝癌への遺伝子治療確立に向けた方法論の検討2017

    • 著者名/発表者名
      上村顕也、横尾健、阿部寛幸、小林雄司、小川光平、品川陽子、井上良介、酒井規裕、名古屋卓郎、山際 訓、寺井崇二
    • 学会等名
      第59回日本消化器病学会大会
  • [産業財産権] ジフテリアトキシンAサブユニット発現DNAプラスミドによる肝癌遺伝子治療2017

    • 発明者名
      上村顕也
    • 権利者名
      上村顕也
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2017-80417
  • [産業財産権] 膵臓選択的なハイドロダイナミック遺伝子導入法2017

    • 発明者名
      上村顕也
    • 権利者名
      上村顕也
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2017-172377

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公開日: 2018-12-17  

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