研究課題/領域番号 |
17K09410
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田尻 和人 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (30512165)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | B型肝炎表面抗原 / B型肝炎ウイルス / 抗原検出法 |
研究実績の概要 |
B型肝炎ウイルス表面抗原(HBs抗原)はB型肝炎ウイルス(HBV)感染の指標となる。HBV診療においては、血中HBV-DNAのみならず血中HBs抗原を消失させることが治療の目標とされている。しかし、現在のHBs抗原測定は既存のHBs抗体を用いたサンドイッチEILSAがベースで、アミノ酸変異、糖鎖修飾されたHBs抗原を十分に認識できず、その意義については更なる検討が必要である。これまでに我々が取得したpreS領域を含むHBs抗原の様々な部位に対するモノクローナル抗体を用いて、種々の状態のHBs抗原を定量的に検出する系を構築することとした。 ①small-HBs抗原中の異なるエピトープ、Middle-HBs抗原のpreS2領域、Large-HBs抗原のpreS1領域、preS2の糖鎖修飾蛋白を認識するモノクローナル抗体遺伝子を、我々がこれまでに開発した抗原特異的細胞検出システムを用いて取得し、それぞれのモノクローナル抗体を大量調整した。 ②当大学倫理委員会承認の上、HBV-DNA高値の未治療患者、核酸アナログ治療を行った患者、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌など病期の異なる患者の血清の収集を行った。核酸アナログ治療前後の患者血清の収集も開始することとした。 ③HBs抗原と進行肝細胞癌治療との関連につき論文発表した。 ④定量的な新規HBs抗原測定法の開発に向け、①により調整したモノクロ抗体を用いたELISA法の開発をすすめた。血清からの検出測定においては存在するHBs抗原量とバックグラウンドノイズにより、その感度が問題となったため、条件検討を進めた。 ⑤新規HBs抗原検出法の開発に向け、①により調整したモノクロ抗体を用いたWB法の検討をすすめた。血清からの検出測定においては存在するHBs抗原量とバックグラウンドノイズにより、その感度が問題となったため、実験条件検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
様々な病態の患者を集積するのに時間を要したことと、ヒト血清を用いた実験におけるバックグラウンドノイズ、測定系の感度の問題が生じたため
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今後の研究の推進方策 |
患者検体の収集を進めるため、症例の集積が困難な状況となるようであれば関連病院などの協力施設からも検体を集める。 HBs抗原低下作用を有する新規核酸アナログが使用可能となり、臨床で使用し始められており、その薬剤を使用する患者での検討は有意義であると思われるため推進する。 ヒト血清を用いた実験を進め感度・特異度検証も同時に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に若干のおくれが生じ、次年度に研究計画が持ち越したため
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