研究課題
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の発症基盤として、インスリン抵抗性、脂肪肝が存在している。HGF受容体であるMetはインスリン受容体(INSR) とハイブリッドを形成して、肝臓におけるインスリン感受性を規定することが知られている。本研究では①Met シグナルを介したNASH病態の解明及びMet 活性化抗体を用いたNASH治療法を新規に構築すること、②HGFの多機能を鑑みてMet 活性化抗体の多方面への応用を考案した。31年度は、Met 活性化抗体を作成した共同研究者とともに、肥満糖尿病マウス(dbdb)にMet活性化抗体を週2回投与して、糖尿病や脂肪肝の発症経過を経時的に観察した。その結果、抗体投与群では体重増加、血糖値、生化学検査の改善、脂肪肝の改善を認めた。また抗体投与群におけるインスリンシグナルの活性化を確認した。前年度に引き続き、CCl4 投与による肝硬変モデルを作成したうえで2/3肝切除を施行して肝硬変の肝再生モデルにおけるMet 活性化抗体の有用性を再検討した。抗体は肝切除の2日前から週2回、2週間投与し、肝切除後28日まで経時的に観察した。その結果、抗体投与群では肝切除後の肝/体重比の増加、アルブミン値、PCNA陽性細胞の著明な増加がみられ、p-ERKの発現も著しく切除後28日目においても抗体投与群で持続して誘導されていた。線維化改善効果も抗体投与群で強く見られ、肝線維化に関連するdesmin, a-SMA の発現やPDGF, TGF-b の発現も抑制されていた。さらにCD68陽性細胞、F4/80 陽性細胞の減少とともにTNF-a, IL-1b の発現も抑制され抗炎症に伴いながら抗線維化作用も起こることが確認され、組織修復・再生療法の有力なツールであることが改めて確認された。また、抗体は長時間効果が持続した。現在共同研究者と公表時期を検討中である。
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