研究実績の概要 |
本年度は自己免疫性肝炎154名と健常人201名からDNA検体を採取し、HLA class Iとclass IIアレルのタイピングを行った。さらに、killer cell immunoglobulin-like receptors (KIRs)遺伝子のタイピングも全て終了した。KIR遺伝子、HLA-Bw遺伝子、HLA-C遺伝子についてKIRとHLAの組み合わせについて検討を行った。すると、以前から私達のグループが報告しているHLA-DRB1*04:05-DQB1*04:01ハプロタイプに加えてKIR3DL1/HLA-B Bw4-80Ileが自己免疫性肝炎の疾患感受性に関連することは明らかになった。さらに、KIR3DL1/HLA-B Bw4-80Thrと KIR2DL1/HLA-C2は疾患抵抗性に関わる事を示した。病態進展(肝不全への移行)、肝関連死との関係性について多変量解析とカプラン・マイヤー法を用いて解析するとKIR3DL1/HLA-B Bw4陰性かつ診断時肝硬変の自己免疫性肝炎は肝不全への進展率と肝関連死亡率が有意に高率である事が証明された。(Umemura T, et al. JHEP Rep 2019;1(5):353-60.) 現在、原発性胆汁性胆管炎患者350名のKIR遺伝子とHLA遺伝子のタイピングは終了しており、臨床データとの関連性について解析をすすめる予定である。 原発性胆汁性胆管炎の肝線維化を非侵襲的に評価する方法として血液中のMac-2 binding protein glycosylation isomer (M2BPGi)とVibration-controlled transient elastography (VCTE)で肝硬度について検討を行った。以前から私達のグループの既報通りにM2BPGiは肝組織と有意な相関を示したが肝硬度も有意な相関を示しており共に本疾患を簡便に非侵襲的に評価できる方法である事を明らかにして報告した。Joshita S, J Gastroenterol Hepatol 2019 in press)
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