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2018 年度 実施状況報告書

肝移植後C型肝炎に対するインターフェロンフリー治療の薬剤耐性機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K09420
研究機関京都大学

研究代表者

上田 佳秀  京都大学, 医学研究科, 講師 (90378662)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード肝移植 / direct acting antiviral / 耐性変異
研究実績の概要

1. 肝移植後C型肝炎に対するインターフェロンフリー治療の効果と安全性の解析:当院における、HCV1b型に対するソホスブビル+レジパスビル12週間(31例)、グレカプレビル+ピブレンタスビル12週間(2例)、8週間(2例)、2b型に対するソホスブビル+リバビリン12週間(1例)、グレカプレビル+ピブレンタスビル12週間(1例)治療の効果と安全性を解析した。32例は生体肝移植後、5例が脳死肝移植後であり、移植から治療開始までの期間は中央値71ヶ月(4~175ヶ月)であった。12例にdirect acting antiviral(DAA)治療歴あり、10例にHCV NS5Aの耐性変異を認めた。有害事象として、出血性十二指腸潰瘍を2例に、肺胞出血、帯状疱疹、サイトメガロウイルス網膜炎、失神、敗血症、急性拒絶反応、下血をそれぞれ1例ずつ認めたが、治療中止例はなかった。37例全例でsustained virological response (SVR)を達成した。
2. 第三世代シーケンサーによるHCVゲノム配列の解析:インターフェロンフリー治療無効例の治療開始前ならびにHCV再発時の段階での血液からRNAを抽出し、第三世代シーケンサーを用い、HCVゲノムの長いリード長の一分子ディープシークエンスを行った。その結果、HCVのNS3, NS5A領域の既知の薬剤耐性変異がひとつのHCVクローン上で多重変異となっていることを明らかにした。NS5AにP32del変異を持つ2症例については、遺伝子変異頻度が非常に高く、遺伝子不安定性が生じていると考えられた。
3. 肝移植前後おける薬剤耐性変異HCVのダイナミクスの解析: 第三世代シーケンサーを用い、肝移植後の慢性肝炎期、インターフェロン治療前、HCV再発時、DAA治療前、HCV再々発時、HCV再発後1ヶ月の血清からRNAを抽出し、HCVゲノム配列のシークエンス準備を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね計画通りに進展している。

今後の研究の推進方策

1. 第三世代シーケンサーによるHCVゲノム配列の解析: 平成30年度から引き続き、第三世代シーケンサーを用いたHCVの一分子シークエンス解析を行う。薬剤耐性HCVの発生機序を明らかにするため、治療開始前と再発時のHCV配列と比較した分子系統樹解析を行い、薬剤耐性変異の起源を解析する。
2. 肝移植前後おける薬剤耐性変異HCVのダイナミクスの解析: 肝移植後の慢性肝炎期、インターフェロン治療前、HCV再発時、DAA治療前、HCV再々発時、HCV再発後1ヶ月の血清のHCVゲノム配列について、第三世代シーケンサーを用いてシークエンス解析を行う。解析結果の分子系統樹解析を行い、HCVの多様性の変化を明らかにする。薬剤耐性変異HCVの肝移植前後の経時的変化を明らかにし、肝移植後の最適な治療開始時期を決定する。
3. HCVレプリコンシステムを用いた薬剤耐性メカニズムの解析: 同定された薬剤耐性変異をもつHCVの薬剤耐性メカニズムをin vitroで解析するため、HCVレプリコンシステムを用いて解析を行う。これまでの解析の結果、治療無効との関与が示唆されるHCVクローンについて、Huh7.5細胞を用いたHCVレプリコン細胞の作成を行う。さらに、薬剤耐性に関与すると予想される変異部位を野生型に変化させたレプリコン細胞や、他のクローンとのキメラ配列もつHCVによってもレプリコン細胞を作成する。これらの細胞に各DAAを加えてHCV-RNA量の変化ならびに残存したHCVの配列の変化を同定することにより、in vitroで薬剤耐性獲得機序の解析を行う

次年度使用額が生じた理由

当該年度には、臨床データ解析とシークエンス結果解析が主であったため、費用が少額で施行できる研究のみであった。次年度にはシークエンス解析ならびに細胞を用いた解析を行うため、使用額が多額となる予定であり、当該年度使用額の一部を次年度使用額とした。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Efficacy and safety of glecaprevir and pibrentasvir treatment for 8 or 12 weeks in patients with recurrent hepatitis C after liver transplantation: A Japanese multicenter experience.2019

    • 著者名/発表者名
      Ueda Y, Kobayashi T, Ikegami T, Miuma S, Mizuno S, Akamatsu N, Tkaki A, Ishigami M, Takatsuki M, Sugawara Y, Maehara Y, Uemoto S, Seno H.
    • 雑誌名

      J Gastroenterol.

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1007/s00535-019-01561-1.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 特集:C型肝炎の新たな壁を越える次世代DAA治療. 肝移植後症例に対する治療成績2018

    • 著者名/発表者名
      上田佳秀
    • 雑誌名

      肝胆膵

      巻: 76 ページ: 255-260

  • [雑誌論文] Impact of donor age on recipient survival in adult-to-adult living-donor liver transplantation.2018

    • 著者名/発表者名
      Kubota T, Hata K, Sozu T, Ueda Y, Hirao H, Okamura Y, Tamaki I, Yoshikawa J, Kusakabe J, Tanaka H, Kageyama S, Anazawa T, Yoshizawa A, Yagi S, Yamashiki N, Okajima H, Kaido T, Uemoto S.
    • 雑誌名

      Ann Surg.

      巻: 267 ページ: 1126-1133

    • DOI

      10.1097/SLA.0000000000002194

    • 査読あり
  • [学会発表] C型肝炎の最新知識 ~ウイルス発見から29年の医学の進歩~2018

    • 著者名/発表者名
      上田佳秀
    • 学会等名
      第27回日本組織適合性学会大会
  • [学会発表] 第三世代シーケンサーを用いた肝移植後C型肝炎ウイルスの耐性獲得機序の検討2018

    • 著者名/発表者名
      中村文保、上田佳秀、丸澤宏之
    • 学会等名
      JDDW2018
  • [学会発表] Single molecule real-time sequencing unveils the evolution of multi-drug resistant hepatitis C virus clones during direct-acting antiviral therapy2018

    • 著者名/発表者名
      竹田治彦, 上田佳秀, 高井淳, 大鶴繁, 関根章博, 丸澤宏之,妹尾浩
    • 学会等名
      UEG Week 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] 臓器移植における肝炎ウイルスUpdate2018

    • 著者名/発表者名
      上田佳秀
    • 学会等名
      第54回日本移植学会総会
  • [図書] 成人臓器移植予防接種ガイドライン 2018年版2018

    • 著者名/発表者名
      江川 裕人, 佐藤 滋, 後藤 憲彦, 伊藤 健太, 上田 佳秀, 亀井 宏一, 長浜 正彦
    • 総ページ数
      89
    • 出版者
      株式会社メディカルレビュー社
    • ISBN
      978-4-7792-2151-4

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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