研究課題/領域番号 |
17K09424
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阪森 亮太郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10644685)
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研究分担者 |
巽 智秀 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20397699)
疋田 隼人 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20623044)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脂肪生成 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、肝細胞に中性脂肪が沈着し、炎症細胞浸潤や風船様肝細胞腫大を伴う病態であるが、そのメカニズムについては明らかでない点が多い。栄養として体内に取り込まれた脂肪が肝細胞内に取り込まれ、細胞内代謝あるいは細胞外へ排出される細胞内輸送の破綻が細胞内脂肪蓄積の病態に関与している可能性があるが、肝細胞内輸送に焦点を当てた検討はほとんどなされていない。そこで細胞内における脂肪生成、脂肪沈着について、in vitroでの系を用いて検討した。 マウス胎児線維芽細胞は、脂肪生成誘導剤に反応して脂肪細胞に成熟し、Canonical Wntシグナルがその脂肪生成を阻害するが、Rab8a欠損マウス胎児線維芽細胞におけるWntシグナルが、脂肪細胞の分化能に変化を及ぼすのかどうかについて検討を行った。野生型のマウス胎児線維芽細胞を脂肪細胞に分化させたところ、脂肪生成とともに細胞内にRab8aを認めた。Fabp4やGlu4の強発現がみられる成熟脂肪細胞では、未分化細胞に比べ、Rab8とRab11の蛋白発現レベルが上昇していた。続いて、Rab8a欠損マウス胎児線維芽細胞の脂肪生成能を評価した。野生型マウス胎児線維芽細胞は、分化誘導後、Rab8a欠損マウス胎児線維芽細胞に比べ、早期に成熟し、成熟脂肪細胞はより大きな脂肪滴を有していた。分化した野生型マウス胎児線維芽細胞はβカテニンの発現、Tcf1の発現レベルが低下しており、脂肪生成分化においてCanonical Wntシグナルが抑制されていた。一方、分化誘導されたRab8a欠損マウス胎児線維芽細胞では、βカテニンやTcf1の発現レベルはむしろ増加していた。Rab8a欠損マウス胎児線維芽細胞でCanonical Wntシグナルを増強すると脂肪細胞の分化を低減させうることを示していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪細胞の分化におけるRab8aの役割についての結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
Rab8aだけではなく、Rab8bをノックアウトさせた状況における脂肪細胞の分化について検討を行う。
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