研究実績の概要 |
マウス胎児線維芽細胞にRab8aを欠損させると、Canonical Wntシグナルの増強が脂肪細胞分化の低減をきたすことを示してきた。Rrab8はRab8aとRab8bの二つのアイソフォームから構成され、Rab8bはRab8aと同様に、cargo proteinのapical側への輸送や、LRP6 caveolae依存的エンドサイトーシスを促進することによるWntシグナルの制御に関与している。Rab8aとRab8bが間葉系幹細胞の脂肪細胞分化に相補的にはたらいているのかどうかについては不明である。この問題を解決するために、shRNAによりRab8b KDマウス胎児線維芽細胞を樹立し、また同様の方法でRab8a-/-, Rab8b KDマウス胎児線維芽細胞を作成した。Rab8a-/-, Rab8b KDマウス胎児線維芽細胞は、通常のカバーガラスに接着しなかったため、0.1%ゼラチンコーティングしたカバーガラス上で培養し、培養期間を5-6日間から12日間に延長することで、接着が得られた。Rab8b KDマウス胎児線維芽細胞では、Rab8aノックアウトマウス胎児線維芽細胞と同様に、脂肪滴のサイズは小さく、Rab8a-/-, Rab8b KDマウス胎児線維芽細胞においても小さい脂肪滴サイズであったことから、脂肪細胞への分化が障害されていることが示された。脂肪細胞のマーカーであるGlut4とFabp4はいずれもRab8a-/-, Rab8b KDマウス胎児線維芽細胞においてmRNAの発現が有意に低下していた。PPARγは軽度低下を認めていた。これらのことから脂肪細胞への分化過程の誘導が減弱していることが示唆された。
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