研究課題
ヒト肝細胞移植TK-NOGマウスに、B 型肝炎ウイルス(HBV)を感染後、ヒト末梢血単核球(PBMC)を投与することにより、重症肝炎モデルが作製された。本モデルでは肝臓内に特異的細胞障害性T細胞(CTL)が検出され、著明なHBV感染肝細胞の障害が生じ、HBVも次第に排除されていった。HBVの持続感染および特異的CTLによる慢性肝炎を生じるモデルの作製には、より強い免疫不全状態が必要と考え、作製したcDNA-uPA/Rag2-/-/Jak3-/-マウスにヒト肝細胞を移植し、HBVが感染し得ることを確認した。さらに本マウスに核酸アナログあるいはPEG-IFNを投与することにより、血中HBV DNA量の低下が認められた。持続肝炎モデルを作製するため、本マウスにヒトPBMCを投与した。しかしPBMC投与後、体重減少、血中ヒトアルブミン値の低下が生じ、マウスは次第に衰弱した。各臓器の組織学的検討にて、明らかな移植片対宿主反応(GVHD)の所見はなく、移植ヒト肝細胞と投与PBMCのアロ応答が生じたものと思われた。移植ヒト肝細胞とPBMCのアロ応答を回避するため、PBMCを予めヒト肝細胞および抗CD80/86抗体にて7日間培養し、ヒト肝細胞と応答し活性化したT細胞を除去後、マウスに投与したところ、一部のPBMCでは、体重減少やアルブミン値の低下が抑制され、マウスの生存、ヒトPBMCの生着が得られた。これらの結果から、HBV感染ヒト肝細胞移植cDNA-uPA/Rag2-/-/Jak3-/-マウスに予めヒト肝細胞および抗CD80/86抗体にて前処置したヒトPBMCを投与することにより、B型慢性肝炎モデルが構築される可能性が示された。
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J Clin Invest.
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10.1172/JCI135616