研究課題/領域番号 |
17K09428
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
高見 太郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (60511251)
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研究分担者 |
藤澤 浩一 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00448284)
松本 俊彦 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70634723)
山本 直樹 山口大学, 大学教育機構, 准教授 (90448283)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肝硬変症 / 骨髄細胞 |
研究実績の概要 |
我々が実施している非代償性肝硬変症に対する自己骨髄細胞を用いた再生療法(先進医療B「自己骨髄細胞投与療法」と臨床研究「培養自己骨髄間葉系幹細胞(MSC)を用いた低侵襲肝臓再生療法」)の知見から、さらに治療効果と安全性を高めた肝臓再生療法を開発するには「高機能・高品質な骨髄MSC」が必要であると考えた。 これまでにThioacetamide(TAA)で酸化ストレスを誘導した初代肝細胞と骨髄MSCの共培養実験から骨髄MSCには肝細胞由来Reactive Oxygen Species(ROS)産生を抑制する直接的作用があることや、「高い細胞増殖活性とコラゲナーゼ活性を持つ骨髄MSCを培養可能な培養皿(特許第5935477号)」の解析から「骨髄MSC増殖促進因子(Mesenchymal proliferation factors, MPFs)」を見出している。そこで今回、MPFsのなかから重要な2因子を同定し、これら因子の骨髄MSCに対する細胞増殖活性メカニズムの解明を行った。 また並行して、骨髄MSCニッチを模倣した骨髄細胞から作成した「骨髄調整培地」を用いて骨髄MSC高品質培養法の開発に取り組んだ。その結果、骨髄調整培地で培養した骨髄MSCは、通常培地で培養した骨髄MSCに比して細胞形態が紡錘形で良好な増殖能を長期にわたって維持し、この肝線維化評価モデルへの投与により肝線維化面積は有意に抑制されることを確認した。このことより、全骨髄細胞由来因子は骨髄MSCの健全性や機能性を保ち骨髄MSCによる肝線維化改善効果を高める効果を有することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「高い細胞増殖活性とコラゲナーゼ活性を持つ骨髄MSCを培養可能な培養皿(特許第5935477号)」の解析から同定した因子の骨髄MSC増殖促進作用の解析を進めることができた。MMP9マウスの解析については発現量が少なく難渋したものの、「骨髄調整培地」を用いた培養法を開発することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、骨髄MSC増殖促進因子(Mesenchymal proliferation factors, MPFs)の骨髄MSC増殖促進作用の解析は進めていく。一方、MMP9レポーターマウスは発現量が少ないため今後も解析が困難であることが予想される。そこで、コラーゲン1レポーターマウス(東海大学 稲垣豊教授より供与)を用いることで、当初の予定通り、培養骨髄MSCおよび骨髄MSC増殖促進因子のマウス肝線維化抑制効果を検証する。
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