研究課題/領域番号 |
17K09432
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
田ノ上 史郎 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (70611820)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Dysbiosis / 発癌 / 脂肪肝 / フルクトース |
研究実績の概要 |
本研究ではフルクトースや脂質過剰摂取による腸内細菌叢構成の異常(Dysbiosis)が脂肪肝、肝発癌に与える影響や腸管バリア機能に与える影響の検討を行った。C57/BL6N マウスに①普通食、②高フルクトース食、③高脂肪食、④コリン欠乏(CDAA)食を摂取させ脂肪肝を誘導した。(コリン欠乏(CDAA)食は脂肪性肝炎モデル作製にて確立された食餌であり脂肪肝のポジティブコントロールとして用いた)作成した脂肪肝モデルマウスに、肝発癌誘導物質であるdiethylnitrosamine(DEN)(50μg/Lの濃度)を3~6か月自由引水させ、肝発癌を誘導し、GST-P染色などを用いた病理組織学的評価を行った。尚、Glutathione Stransferaseplacental type (GST-P)陽性肝細胞は肝細胞癌の前癌病変と考えられている. また解剖時に門脈採血を行い、門脈血中Lipopolysaccharide(LPS)濃度の定量を行った。脂肪肝モデルマウスにFITC-Dextran を経口摂取させ、それを血液レベルで測定し腸管透過性の評価を行った。また経時的に血清や肝組織中サイトカインレベルをELISA やreal-time PCR 法で検討を行った。FITC-Dextran assayでは3か月目で既にフクルトース群で腸管透過性亢進し、門脈血中のLPS濃度は高い傾向を認めた。また肝組織中mRNA発現では、炎症性サイトカインであるIL-1βやIL-6がフルルクトース群で発現亢進していた一方で線維化マーカーであるαSMAやCOL1A1はフルクトース群よりも高脂肪食群で発現が亢進していた。 だが肝腫瘍形成については3ヶ月目、6ヶ月目においてでも各群で明らかな差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脂肪肝マウスモデル作製し評価項目である門脈血中LPS測定や腸管透過性評価、肝組織中mRNA発現評価などは予定どおりであったが、肝腫瘍形成において各群において有意差を認めなかった。今回脂肪肝-肝発癌モデルの作成diethylnitrosamine(DEN)の自由引水による肝発癌誘導を行うが、発癌誘導が不十分である可能性があったためDENの腹腔内投与による発癌モデルへの変更や同系の肝癌細胞株Hepa1-6 1~0.5x106個を脾臓に接種して肝癌モデルを作製し、腫瘍結節の肝組織への接着数で評価を検討する予定であったが、研究員数や予算不足などにより実験が中途停滞している。
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今後の研究の推進方策 |
発癌モデルや評価法の変更といった検討を研究員や研究費が確保でき次第実験再開予定である。
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