研究課題
基盤研究(C)
本研究は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)由来肝細胞癌(HCC)の病態進展機序における腸内細菌及び腸管由来エンドトキシン(ET)の役割を検討することであった。便メタゲノム解析により、NASH由来HCCモデルマウスの便中では非HCCマウスに比しFaecalibacteriumの占拠率が低下していた。この結果はヒトHCC患者と同様の結果であった。また、このHCCモデルマウスへのFecalibacterium投与によりHCCの個数の減少及び大きさの低下を認めた。NASH由来HCCの進展機序として腸管透過性の亢進が考慮されるが、Fecalibacteriumの投与により改善を認めた。
肝臓
NASH由来肝細胞癌は増加の一途を辿っている。本研究は腸内細菌がNASH由来肝細胞癌に関わることのみならず、腸内細菌の是正がNASH由来肝細胞癌を抑制できる可能性を示唆するものである。将来的に肝細胞癌の予防や治療において、腸内細菌や腸管透過性へのアプローチといったこれまでとは全く異なる選択肢へとつながる可能性がある。