研究課題/領域番号 |
17K09435
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
松浦 健太郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (30580576)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | miRNA |
研究実績の概要 |
申請者が本研究を立案するきっかけとなった先行研究の結果(Matsuura et al. Hepatology 2016)について、本邦の複数のC型慢性肝炎コホートから肝生検時の保存血清検体および臨床情報を収集し、末梢血let-7 レベルと肝線維化進展度との相関の再現性を検証した。その結果、血清および血清由来の細胞外小胞中のlet-7aの発現は肝線維化の進展に伴い減少することを再現した。さらに、血清中のlet-7発現レベルは他の線維化マーカーと良好な相関をみとめた(Matsuura et al. Open Forum Infct Dis. 2018)。また、治療によりC型肝炎ウイルスの排除された肝硬変患者の保存血清を用いて、その後の肝線維化・予備能の改善・悪化に関連するケモカイン/サイトカインの解析を進めており、候補となるタンパクを見出し、現在、別コホート検体による再現性の検証を行っている。また、この検体を用いて血清中由来の細胞外小胞中のlet-7を含むmiRNAの網羅的発現解析を行っている。 一方、細胞内におけるlet-7の働きについて、ヒト肝星細胞株(LX-2)、線維芽細胞株を用いて検討した。LX-2をいくつかのサイトカインを加え活性化するとlet-7の発現レベルは有意に低下した。また、let-7をLX-2に導入後の肝線維化関連の遺伝子発現を解析したところ、肝線維化を抑制する傾向をみとめた。肝線維化を呈する非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデル動物の肝臓におけるlet-7および肝線維化関連分子の発現解析を施行した。現在、let-7 mimicをアテロコラーゲン、脂質ナノ粒子などを担体として投与し、肝線維化抑制効果について検討する実験をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
患者検体を用いた検討は、論文発表が終了し順調である。 動物モデルを用いた検討については、コロナ渦の影響で遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
患者検体を用いて、C型肝炎ウイルス排除後の肝線維化・予備能改善・悪化におけるmiRNAの関連について引き続き検討する。動物モデルを用いたlet-7の肝線維化抑制効果について検討をすすめ、細胞株を用いて得られた結果との整合性を検証する。すなわちlet-7 mimicを投与したこれらモデルの肝組織の遺伝子発現をRNAseq、マイクロアレイなどを用いて網羅的に検討し、肝線維化から発癌に至る分子機構の解明、新規の肝線維化治療薬としての確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物モデルを用いた検討については、コロナ渦の影響で遅れているため。
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