研究課題/領域番号 |
17K09437
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
藤井 英樹 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (20382070)
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研究分担者 |
松原 三佐子 (佐藤) 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (00635120)
LE THUY 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (10572175)
松原 勤 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20628698)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 血小板 / 赤血球 / NASH |
研究実績の概要 |
本研究は①マウス脂肪肝炎モデル、②ヒト肝生検病理組織の赤血球、血小板の役割を形態学的に解析し、「非アルコール性脂肪肝炎における肝臓内の炎症形成に赤血球、血小板による血栓形成が関与する」という仮説を証明することを目的として立案した。初年度の結果を以下に記載する。①マウス脂肪肝炎モデル:既存のメチオニン・コリン欠乏食(MCD)はるい痩を伴う特殊なモデルであるため、今回動脈硬化モデルとして知られる「Paigen diet」を改変した高脂肪食を、更に高齢(50-60G.W)マウスに投与を行うことで、よりヒトNASHの病理像に近いモデルの作成を試みている。2018年4月25日現在、1回目の予備検討(6週間投与)用の検体の摘出が終了している。通常食群に比し、高脂肪食群では体重の増加は軽微であったが肝臓/体重比は著明に上昇していた。また、今回の検討では血小板血栓の進展を抑制する薬剤Aを用いた群も設定しており、この群は高脂肪食単独群に比し体重、肝臓/体重比が低下する傾向があった。また、皮下脂肪組織量の減少を認めた。今後、順次H-E染色、線維染色やmRNA、蛋白の発現変化等の解析を施行する予定である。②ヒトNASH患者の肝組織の一部より電子顕微鏡用の標本を作成し(現在8例)、肝類洞を中心に観察を行った。時に赤血球のうっ滞や血小板の集合による類洞のうっ滞を認めた。本所見がNASHの肝線維化進展に特異的な所見か否かを明らかにするためには、NAFL(いわゆる単純性脂肪肝)や正常肝の類洞における検討を追加する必要があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
①人NASHの電子顕微鏡観察については、今後正常肝やNAFLの組織を用いた検討が必要である。②動物実験の条件設定が難しく、実験の開始が大幅に遅れてしまった。最近、ようやく飼料を一定量食べさせることが出来、予備実験にこぎつけることが出来た。研究は当初の予定より遅れているが、動物実験の目途が立てば解析はスムーズに進行すると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
①ヒトNASH:正常肝やNAFLの組織を用いた検討 ②マウス動物モデル:予備検討の再現性の確認、長期投与群(12-20週)におけるphenotype解析。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回の研究計画は、特に動物モデルの作成に際し、飼料の調整やマウスの準備等で時間がかかり、この影響もあって使用できなかった。1回目の予備実験が終了し、次回の実験の準備も行っているため、次年度は予定通りの運用が可能と思われる。
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