研究課題
最終年度である今年度はこれまでの2年間の成果を踏まえて申請項目においてそれぞれ当初の目標に近い成果を獲得できた。ヒアルロン酸ミセルを用いたドラッグデリバリーシステムの構築に関しては、ARBを内包した薬剤内包ミセル作成を完成した。関西大学との共同研究にて、粒子径が60nmで正の表面荷電を有したミセルを作成した。またARBを内包して検討した結果、粒子径の変化は見られず、薬物の内包効率は約80%に達していることを確認した。ヒアルロン酸ミセルを蛍光ラベルして臓器集積性を確認したところ、被覆ミセルは単体のミセルに比べて肝臓への集積が高いことが確認できた。さらに、フローサイトメトリーでヒト活性化肝星細胞を用いて選択的な取り込みを確認したところ、ヒアルロン酸ミセル化したものは選択的に活性化肝星細胞に取り込まれており、機序として取り込まれる際にヒアルロン酸ミセルが外れてARBがより効率的に細胞内に集積していることを蛍光顕微鏡で確認した。これまで当科ではARBを用いて様々な肝線維化モデルや肝発癌モデルにおける有効性を確認しており、今後通常薬剤に比して効果が高いことを確認することにより臨床応用に近づける成果と考えられる。ヒアルロン酸はもともと生体内に存在する物質である事から異物反応なども生じにくいことから臨床に直結するドラッグデリバリーシステムを本研究にて確立することができた。腸内細菌と肝線維化に関する検討課題においても大きな成果を得た。前年度までの肝硬変症例における腸内細菌の変化に加えて最終年度では原発性胆汁性胆管炎症例 (PBC)での変化についても詳細な検討を加え新たな知見を得た。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件) 図書 (2件)
Hepatol Res.
巻: 4 ページ: Apr 28
10.1111/hepr.13509
Antibiotics (Basel)
巻: 9 ページ: E145
10.3390/antibiotics9040145
巻: 49 ページ: 404-418
10.1111/hepr.13281
Cells.
巻: 26 ページ: E1153
10.3390/cells8101153
Nutrients.
巻: 7 ページ: E2140
10.3390/nu11092140