CDAA投与実験的NASHモデルラットにおいて、エクオールは活性化肝星細胞やTGF-β発現を抑制することで肝線維化を抑制した。エクオール投与群では肝内TGF-βの低下を伴い、有意な肝線維化抑制作用を認めた。エクオールは、膵臓β細胞から のグルコース誘発インスリン分泌を促進することが知られており、GLP-1分泌を抑制する可能性が報告された(Biochem Biophys Res Commun. 2018 Jul 2;501(4):1009-1015.)。我々はさらに2型糖尿病自然発症ラットNASHモデルを用い、我々がこれまで報告してきた肝線維化抑制作用をもつ糖尿病治療薬であるDPP4阻害剤と併用し検討を加えた。肝線維化、肝内活性化肝星細胞、TGF-β mRNAは、DPP4阻害剤、エクオール各単独投与により低下し、併用投与によりさらに強く抑制された。in vitroにおいて、高血糖・高インスリン条件下で促進した活性化HSCの増殖は、エクオール低用量単独添加では抑制されなかったが、低用量DPP4阻害剤との併用添加において、有意に抑制された。臨床研究では、70歳未満、肝生検を施行、エクオール産生の有無が確認できた34名(男性13人、女性21人、年齢中央値63.2歳)を解析した。34名中21名61.8%がエクオール非産生者であり、NAS score 5点以上の女性11名においては10名91%がエクオール非産生者の結果であった。女性においてエクオールはNASHにおける治療薬としての可能性が示唆されたが、今後さらなる症例数の蓄積よる解析が必要と考えられた。
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