研究分担者 |
杉本 勝俊 東京医科大学, 医学部, 准教授 (20385032)
中村 郁夫 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40251243)
糸井 隆夫 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (60338796)
大城 久 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60381513)
大藤 さとこ 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70433290)
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研究実績の概要 |
1.新開発超音波エラストグラフィーによる「非侵襲的食道胃静脈瘤診断法」:胃静脈瘤に対するBRTO後の影響をDispersionモード搭載超音波エラストグラフィーから解明した。28例を対象とし、治療前、翌日、7日後、1か月後、3か月後、半年後で、肝脾硬度、肝脾粘性を測定した。結果:肝硬度は変化を認めなかったが、肝粘性(前, 1D, 7D, 1M, 3M, 6M)は(21.2, 16.9, 15.0, 16.0, 16.2, 16.4)m/s/kHzで術7日以降有意に低下した(p=0.015, 0.035, 0.048, 0.040)。脾硬度と脾粘性は有意な変化を示さなかった。BRTO後は静脈瘤部に炎症細胞が動員される結果、肝臓内の免疫細胞などが減少し、肝粘性が低下した可能性が考えられた。 2.門脈圧亢進症ラットモデルを用いた肝臓・脾臓の弾性・粘性値変化の解明:Wistar系雄ラットを使用し、CCl4 0.5ml/kgを週2回6週間腹腔内投与した肝硬変モデル4匹と対照群4匹(生食腹腔内投与)を作成した。開腹下で肝臓・脾臓の粘弾性値を比較した。肝硬度(肝硬変モデル:対照群)は(8.2:4.7 kPa)、肝粘性(9.2:8.6 m/s/kHz)、脾硬度(45.3:27.1 kPa)、脾粘性(25.0:22.0 m/s/kHz)であった。肝硬変モデルでは肝硬度が上昇するが、肝粘性は変化しなかった。一方、脾硬度は有意に上昇し、脾粘性もやや上昇した。CCl4により肝臓と脾臓に炎症が起こり、線維化が生じたためと考えられた。 3.特発性門脈圧亢進症、バッドキアリ症候群の肝臓・脾臓粘弾性値測定による状態解明 全30例を対象とした。特発性門脈圧亢進症は肝臓の弾性値・粘性値ともに低値であったが、脾臓の弾性値が非常に高値であった。バッドキアリは肝弾性値・粘性値ともに高値で肝硬変と同等であった。
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