研究課題/領域番号 |
17K09442
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
中出 幸臣 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (70431400)
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研究分担者 |
角田 圭雄 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (10636971)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | NASH / 迷走神経 / 高脂肪食 / NAFLD |
研究実績の概要 |
選択的迷走神経肝臓枝切断術が肥満糖尿病モデルラットにおける非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に及ぼす影響を検討するため、週齢8週雄性OLETFラットに対して選択的迷走神経肝臓枝切断術を摂食開始1週間前に施行し、高脂肪高コレステロール(HF)食投与およびコントロール食を開始し12週間にわたり体重測定を行い経過観察を行った。摂食終了後ラットを犠死させ採血を行い、肝を採取し組織学的検討を行った。肝組織はOil Red O染色、ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、肝における脂肪化の程度を評価した。その結果体重の変化についてはsham手術群ではHF食摂食とともに徐々に増加していき、12週後でHF群ではcontrol群と比べ有意に体重が増加していた。一方、選択的迷走神経肝臓枝切断術群ではHF群、control群ともに徐々に体重が増加していったが、12週間後には両群間で有意差がつかなかった。また内臓脂肪量も体重と同様にsham手術群ではHF群でcontrol群で有意に増加していたが、選択的迷走神経肝臓枝切断術群においてHF群とcontrol群の間で有意差をみとめなかった。肝脂肪に関してはsham群でHF食により有意に肝脂肪化をみとめたが、選択的迷走神経肝臓枝切断術群ではやや脂肪化が少ない印象であったものの有意差がつかなかった。本ラットにおいては選択的迷走神経肝臓枝切断術の影響で肝脂肪化の有意差が顕著でなかったため、マウス(C57BL/6、BALB/c)に高脂肪食を導入するNAFLDマウスモデルに対して同様の検討を行うことを計画し実験を遂行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝脂肪に関してはsham群でHF食により有意に肝脂肪化をみとめたが、選択的迷走神経肝臓枝切断術群ではHF食による肝脂肪化が少なく有意差がつかなかった。ラットにおいては選択的迷走神経肝臓枝切断術の影響で肝脂肪化に顕著に違いがあまりでないため、現在マウス(C57BL/6、BALB/c)に高脂肪食を導入するNASHモデルに変更し、実験を継続中である。ラットモデル同様に選択的迷走神経肝臓枝切断術群のHF群で体重増加が鈍る傾向にあり、本年度前半には肝脂肪化に関するデータ評価を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
選択的迷走神経肝臓枝切断術群の検討を行った後、迷走神経求進路の関与を検討するため選択的迷走神経求心路の除神経(迷走神経遠心路は障害しない)を施行し検討を進めていく予定である。イソフルレンによる全身麻酔下にラット頸部迷走神経を露出し、ペリベイガルカプサイシンネーションを行いsham群と比較する。また迷走神経のシグナルが中枢神経系の受容体を介するか検討するため、脳室内N-methyl-D-aspartate (NMDA)受容体拮抗剤を脳室内にあらかじめ留置したカテーテルより投与し中枢神経系のシグナルを介しているか検討を行い 肝脂肪化をはじめとする組織学的変化を比較し、精巣上体脂肪量を定量し組織学的に脂肪滴の形態を比較し検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度にOLEFTラットの脳室内カテーテル留置およびペリベイガルカプサイシネーション処置を予定していたが、実験系の変更を余技なくされた。このため上記処置を本年度に使用予定である。上記脳室内カテーテル留置、マウスの購入費用、処置費用など試薬や消耗品に対して使用予定である。
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