研究課題
当初OLETFラットを用いて迷走神経肝臓枝切断術実験を行ったが肝脂肪化にコントロールとの間に有意差を認めなかったため、BALB/Cマウスモデルを変更し、迷走神経肝臓枝切断術(HV)およびsham手術を行い、高脂肪食および対照食を摂食させ18週目まで継続した。肝組織学的変化に関してSham手術群において高脂肪食により顕著に肝脂肪が沈着したが、HV群において肝脂肪沈着はsham群に比べ減少した。肝脂質代謝関連遺伝子発現について検討したところ、de novo脂質合成、肝β酸化および肝脂質排出に関わる遺伝子発現は、HV群およびsham手術群の間で有意差はなかった。一方、肝脂質取り込みに関わるCD36 mRNA発現がSham手術群と比べHV群で有意に発現が減少していた。高脂肪食は肝脂肪だけでなく、肝炎症および肝線維化が誘導された。HV群においても同様に肝炎症および肝線維化が出現し、これらはsham群とHV群の間で有意差を認めなかった。さらに迷走神経求心性線維のみ除神経を行ったperivagal capsaicin処置群においてはHV群と同様に高脂肪食による肝脂肪化は軽減したが、肝炎症とくに肝線維化は軽減しなかった。肝炎症および肝線維化に関わる遺伝子発現ではTIMP1およびcollagen1 mRNAがHV群およびperivagal capsaicin処置群においてもsham群と同様に増加していることが確認された。さらに迷走神経が延髄内に投射している背側核に存在するN-methyl-D-aspartate (NMDA)受容体に対する拮抗剤を用いると、炎症および肝線維化は軽減せず、以上のことから高脂肪食による脂肪性肝炎は迷走神経求心性線維を介して迷走神経背側核を介する経路が関与する可能性が示唆された。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
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