研究課題/領域番号 |
17K09444
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
川口 巧 久留米大学, 医学部, 講師 (00320177)
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研究分担者 |
橋田 竜騎 久留米大学, 医学部, 助教 (40754841)
谷口 英太郎 久留米大学, 医学部, 助教 (50341318)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎 / 運動療法 / decorin |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis; NASH)は、生活習慣の欧米化にともない本邦でも慢性肝疾患の主な成因となっているだけでなく、近年患者数が急増している非B非C肝癌の主な成因としても注目されている。過食とともに、活動量の低下はNASHの主な原因であり、運動療法によりNASHが改善することは広く認知されている。近年、骨格筋は運動器としてだけでなく、内分泌臓器であることが明らかとなった。これまでに約30種類の筋細胞由来のホルモンであるマイオカインが同定されており、造骨作用、抗炎症作用、認知能の改善作用などがあることが報告されている。また、マイオカインの中にはインスリン抵抗性改善作用や、細胞増殖抑制作用を有するものも報告されている。本研究の目的は、運動誘発性マイオカインが、NASHおよび肝発癌におよぼす影響をマウスモデルを用いて検討することである。本年度、我々はNASHモデルマウスを作成し、各種マイオカインの変動を検討した。その結果、NASHモデルマウスの肝臓には大滴性の脂肪沈着、炎症細胞浸潤、肝細胞の風船様腫大、および中心静脈・肝細胞周囲の線維化が認められた。NASHモデルマウスにおけるインスリン抵抗指数(Homeostasis Model Assessment Insulin Resistance)はコントロール群と比較し有意に高値であった。cathepsin B, myostatin, irisinの血中濃度はコントロール群と比較して有意差を認めなった。一方、NASHモデルマウスにおけるdecorinの血中濃度はコントロール群と比較して有意に低値であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NASHモデルマウスにおいて複数のマイオカインの変化を検討し、有意に変化するマイオカインを同定しえた。
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今後の研究の推進方策 |
マイオカインが肝細胞の糖・脂質代謝異常におよぼす影響や肝発癌に対する抑制効果を培養細胞およびモデル動物を用いて分子生物学的手法により検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に、NASHモデルマウスにおけるマイオカインの変動を解析した。解析の結果が当初予想していた結果と異なったため、計画を変更しdecorinの解析を行うこととしたため、未使用額が生じた。
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