研究課題
非アルコール性脂肪性肝疾患/肝炎(NAFLD/NASH)やHCV排除後など、肝炎ウイルス非存在下における肝発癌について大規模なゲノム関連解析を行い、リスク評価に貢献できる宿主遺伝要因の同定を試みた。2年度目には、NAFLD/NASH易罹患性に関わることが知られているPNPLA3やTM6SF2に加え、その機能から病態への関与が疑われるFABP1についても検討した結果、PNPLA3およびFABP1遺遺伝子多型がNAFLD/NASHの発症のみならず、その後の肝発癌に対しても、より強い効果を持って関連する可能性が示唆された。3年度目には、国外のグループから肝脂肪化との関連が新たに報告されたFNDC5遺伝子多型について解析を行ったが、関連は確認できなかった。国内外におけるアレル頻度の違いが影響した可能性が残る。PNPLA3やTM6SF2では、NAFLD/NASH易罹患性のリスクアレルを有する方が肝脂肪化が高度になる傾向が見られた。一方、HCV排除後の発癌にもHCV genotypeが関連するという報告がある。国外のGWASにより、既知のIFNL4とHLA-DQB1に加え、新たにGPR158遺伝子多型がHCVの持続完成/自然排除に関連することが報告された。検討の結果、IFNL4とHLA-DQB1はHCV genotype2に比べてgenotype1でより強い関連を示すことが分かった。GPR158では、両genotype間で効果が逆になる可能性が示唆された。遺伝的背景の人種差の他、HCV genotype分布の地域差が、結果に影響した可能性がある。一つ一つの遺伝子多型の効果は決して大きくはないが、生まれてから肝発癌に至るまでの長い年月のどこかで、病態形成・進展に影響を与える可能性が高い。それを明らかにするためには、大規模な集団かつ長期間の観察が必要である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
J Gastroenterol Hepatol.
巻: - ページ: -
10.1111/jgh.14968
Microbiol Immunol.
巻: 64 ページ: 296-303
10.1111/1348-0421.12768
J Med Virol.
巻: 92 ページ: 210-218
10.1002/jmv.25602
BMC Gastroenterol.
巻: 19 ページ: 169
10.1186/s12876-019-1092-z
J Gen Virol.
巻: 100 ページ: 1123-1131
10.1099/jgv.0.001268
J Gastroenterol.
巻: 54 ページ: 650-659
10.1007/s00535-019-01558-w