研究課題/領域番号 |
17K09451
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
笹島 順平 旭川医科大学, 医学部, 客員講師 (80451467)
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研究分担者 |
水上 裕輔 医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院医学研究所, がん研究部, 部門長 (30400089)
小野 裕介 医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院医学研究所, 臨床生体情報解析部, 部門長 (40742648)
田中 宏樹 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70596155)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コピー数変異 / 膵癌 |
研究実績の概要 |
膵癌は難治癌を代表する癌であり、かつ我が国の癌死亡原因の第4位にあたるため、膵癌の予防、早期診断、治療法の開発が強く望まれている。膵癌の発症年齢中央値は70歳台前半であるが、30から40歳台の若年発症を稀に見る。これらの患者は高い遺伝的素因を有すると考えられ、膵癌発症の予測に役立つ新規の感受性遺伝子(群)の特定を目的に、国際共同研究(生殖細胞系列の全エクソン解析)を進めている(UMIN000016984)。本研究ではこの国際共同研究と並行して、50歳未満の若年膵癌症例の切除後組織を用いて、若年膵癌に特有の新規の感受性遺伝子(群)の特定を目的とし、研究を進めてきた。平成30年度は現在徐々に注目されている遺伝子のコピー数異常に着目し、既存のデータベースを元に候補となる遺伝子の絞り込みを、より詳細に突き詰めた。50歳未満の若年症例で認めら、有意に若年者に多かったコピー数異常候補遺伝子を絞り込み、その候補遺伝子を詳細に検索することで、1つの遺伝子座が連続する候補遺伝子群を認めた。この候補遺伝子群はある一定の患者群に認められ、その患者群の年齢は有意に若かった。この遺伝子群が実際に若年に特徴的であるかどうかについて、国際共同研究で集まった症例で検証したところ、この遺伝子群のコピー数異常を有する患者群は有しない患者群と比較し、有意に若かった。これまで報告のない、若年膵癌に特徴的なコピー数異常が同定され、今後の研究の発展が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の核となる新規のコピー数変異遺伝子群が同定されたこと、これが実際に国際共同研究で集まった症例を解析することで、確かであることが確認されたことで本研究の意義を確実なものとなった。当初は候補の単一遺伝子が発見されると想定していたが、今回発見されたコピー数異常遺伝子群はその遺伝子座が連続しており、すなわちかなり長い範囲の遺伝子領域が同時に増幅されていることが示唆される。単一の候補遺伝子よりも、その意義は大きいものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では核となる新規コピー数異常遺伝子群が同定された。本年度はこのコピー数異常遺伝子群に研究資源を集約し、機能解析も含めた研究を推進させていきたい考えである。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度の交付金のほとんどは使用しきっており、残額の3346円が次年度使用額として残っているがわずかな額であり、これは物品購入費用に当てられる予定ある。
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