本研究は、①癌原発巣における癌細胞と癌微小環境構成細胞の役割について明らかにし、②癌転移時における癌細胞および癌構成にて中心的役割を担う癌関連線維芽細胞の性質を解明することであり、③原発巣および転移性癌の癌細胞および癌形成周囲細胞の相互作用を解明し、膵癌原発巣および転移における支持する増殖する際の癌関連線維化細胞を抑えることを目指すことにある。蛍光タンパクを導入した癌細胞をNUDE マウスの皮下に移植し担癌マウスを作成した。その癌結節は、蛍光タンパクで標識してあるため癌細胞および癌微小環境内の血球、間質系細胞などの区別は明らかになる。その癌結節をNUDEマウスに同所移植させ膵臓癌転移モデルを作成した。さらに、直接癌細胞を脾注することで膵臓癌の転移性肝癌を作成し、原発巣および転移巣の癌細胞と癌周囲細胞の細胞構成を解析するために、担癌マウスより癌結節を取り出し癌細胞および癌周囲細胞をin vitroで数日培養し、癌構成における重要な細胞を解析した。癌周囲細胞の中で重要と思われる癌関連細胞を検討したところ膵臓癌において癌関連線維芽細胞が重要であった。さらに、膵臓癌株内のエクソソームを蛍光タンパクで標識し、癌転移モデルを作成したところ、転移巣において血球系細胞の特にマクロファージにエクソソームが取り込まれており、癌転移において重要な役割があると考えられた。さらには、コリン欠乏食マウスは、転移性肝癌が抑制されており、癌関連線維芽細胞が通常食モデルに比べ減少していたため、転移の際には癌関連線維芽細胞の重要性が示唆された。
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