研究課題/領域番号 |
17K09459
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊佐地 秀司 三重大学, 医学部附属病院, 病院長 (70176121)
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研究分担者 |
村田 泰洋 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20572655)
水野 修吾 三重大学, 医学系研究科, 教授 (70335131)
岸和田 昌之 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (40501961)
加藤 宏之 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (50737004)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 浸潤性膵管癌 / 化学放射線治療 / 境界切除可能膵癌 / 局所進行切除不能膵癌 / 生物学的悪性度 / 免疫栄養指標 |
研究実績の概要 |
近年、浸潤性膵管癌に対する化学放射線治療(CRT)を先行した手術治療が導入されるようになり、治癒切除率の向上、リンパ節転移の陰性化、局所再発率の低下などの点から有効性が示唆されている。しかし、CRT後の再評価にて潜在性遠隔転移が顕在化あるいは局所進行高度のため非切除となる症例も存在することから、CRTに耐性を示す症例、潜在性微小遠隔転移が併存する症例の臨床病理学的特徴、生物学的特性、免疫学的特性を解明する必要がある。CRTに耐性を示す膵癌に関して、併用する化学療法薬剤とその治療効果との関連性を検証した。その結果、ゲムシタビン塩酸塩+S-1療法と放射線治療の併用は、ゲムシタビン塩酸塩単剤と放射線治療の併用よりも、有意に組織学的効果が良好であり、治癒切除率の向上に貢献したことを明らかにした。宿主の炎症/免疫栄養指標と予後との関連性に関しては、CRTを施行した局所性膵癌176例を対象に様々な炎症/免疫栄養指標と予後の関係を解析した結果、CRT後のprognostic nutritional index(PNI)は最も有意な予後規定因子(カットオフ値:39)であることを明らかにし、重要な宿主因子であることを報告した。切除可能境界(BR)膵癌の定義と基準に関する国際コンセンサス2017(IC2017分類)では、切除可能性分類には腫瘍の解剖学的因子以外に腫瘍生物学的因子(CA19-9>=500, PET-CTや生検にてリンパ節転移と診断)や宿主因子(performance status>=2)も考慮に入れる必要性があることが提唱された。そこで、CRTを施行した局所性膵癌345例のうち再評価を施行した320例を対象にIC2017分類の検証を行った結果、その妥当性を証明した。今後、さらなる膵癌の生物学的特性に基づいた新規臨床病期システムの開発と治療応用が進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学放射線治療(CRT)に耐性を示す膵癌、治療開始時にすでに潜在性微小遠隔転移を併存する膵癌の臨床病理学的特性の解明については概ね順調に進行しており、その研究結果を国内外の学会発表ならびに論文報告を行っている。主要な報告として、CRTに耐性を示す膵癌に関して、併用する化学療法薬剤ならびに放射線照射量と治療効果との関連性を検証した結果、ゲムシタビン塩酸塩+S-1療法と放射線治療の併用は、ゲムシタビン塩酸塩単剤と放射線治療の併用よりも、有意に組織学的効果が良好であることを明らかにし、論文報告を行った。また、CRT先行手術治療プロトコールに登録された浸潤性膵管癌症例を対象として、腫瘍の解剖学的、生物学的因子ならびに膵癌宿主における様々な炎症/免疫栄養指標を含む因子を用いた本治療後の疾患特異的生存期間(DSS)に影響する臨床病理学的因子の解析検討を行った結果、切除可能境界(BR)膵癌の定義と基準に関する国際コンセンサス2017において提唱されたBiological factor(CA19-9>=500, PET-CTや生検にてリンパ節転移と診断)とConditional factor (宿主のperformance status)の予後規定因子としての有用性を明らかにし、学会発表、論文報告を行った。さらに、化学放射線治療(CRT)を施行した局所性膵癌176例を対象に様々な炎症/免疫栄養指標と予後との関係を解析した結果、CRT後のOnoderaらが提唱した血清Albと総リンパ球数を用いた免疫栄養指標である予後栄養指数(PNI: prognostic nutritional index)は最も有意な予後規定因子(カットオフ値 PNI>=39)であり、有用な指標となることを論文報告している。
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今後の研究の推進方策 |
CRTが膵癌組織内の免疫抑制細胞と免疫担当細胞に与える影響の解明、超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診や審査腹腔鏡下生検、開腹下生検で得られた膵癌細胞、癌間質を用いたCRT不応膵癌、全身遠隔転移型膵癌の生物学的特性の解明について今後、研究を推進する予定である。
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