研究課題/領域番号 |
17K09465
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
杉森 一哉 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 講師 (20448666)
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研究分担者 |
芝田 渉 横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (00435819)
前田 愼 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40415956)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 胆道癌 / 膵臓癌 / 3次元オルガノイド培養パネル / 次世代型シークエンサー / EUS-FNA |
研究実績の概要 |
切除不能進行胆道癌・膵癌に対する化学療法は未だ十分な有用性とは言い難く,新規治療標的分子の同定と,既存の化学療法レジメンの有効活用を図ることが、実臨床上で早急に求められる責務であると考える.本研究では超音波内視鏡下生検(Endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration, 以後EUS FNA )等による組織診断時の生検検体より,臨床経過の紐付け可能な3次元オルガノイド培養パネルを構築し,網羅的遺伝子変異や発現解析を行うとともに,阻害薬投与実験のためのアッセイ系を確立することを主たる目的とする.そして,遺伝子変異・発現情報,及びオルガノイドでの薬剤投与実験結果を照らし合わせることで,新規治療標的分子の同定と薬剤スクリーニング,及び新規レジメン選択基準の策定を試みる. 平成30年度は,前年度にパイロットトライアルとして検討を行ったEUS-FNA組織検体からの3次元オルガノイド培養株樹立方法を用いて,培養症例数の拡大を試みた.しかしながら,現実的には樹立困難なケースが相当数存在し,現時点での培養成功症例は計6例にとどまっている.樹立できたものについては,次世代型シークエンサー解析を実施したが,結果,2例では正常DNA(末梢血単核球由来)とのpaired 解析で変異の検出なく,非腫瘍組織由来の膵オルガノイド細胞株であることが示唆された.残る4例 ではputative driver mutationとしてKRAS, TP53 変異を各々,高いMAF(mutation allele frequency)値にて検出し,膵癌オルガノイド細胞株であると考えられた.また,これらの膵癌オルガノイド細胞株についてはオルガノイド培養系での薬剤処置実験や,免疫不全マウスへの移植実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 前年度にパイロットトライアルとして検討を行ったEUS-FNA組織検体からの3次元オルガノイド培養株樹立方法を用いて,培養症例数の拡大を試みたが,現実的には樹立困難なケースが相当数存在した.原因としては,培養移行時の細菌のコンタミネーション,生検検体のサンプリングエラーを考えている.なお,樹立可能であったオルガノイド培養株よりDNAを抽出して次世代型シークエンサー解析を実施したところ,2例では正常DNA(末梢血単核球由来)とのpaired 解析で変異の検出なく,非腫瘍組織由来の膵オルガノイド細胞株であることが示唆されたことから,膵管上皮細胞を培養できる条件は構築出来ており,方法論には問題ないと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
症例数を拡大し,上述の一連の検討の継続を予定している.また,次世代型シークエンサー解析を行うとともに, 既存の抗癌剤及び新規の分子標的阻害薬ライブラリのスクリーニング実験を随時実行していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は当初計画していた目標症例数には達さなかった.次年度に症例数の拡大・バンク化を計る方針であり,本年度予算余剰分をその症例数増加分に充てる予定である.
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