研究課題/領域番号 |
17K09466
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
吉田 道弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20636328)
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研究分担者 |
内藤 格 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (30527750)
志村 貴也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (90405192)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腹膜播種モデル / 膵癌 / オートタキシン |
研究実績の概要 |
前年度に以下の推進方策を挙げた。①プロトコールを一部改変して、昨年度行えなかったIn vitroの実験を遂行することと、昨年度行ったマウス実験をマウスの数をそろえて再度継続して行う。 ②31年度として実験計画した以下を行う。A.臨床検体を用いたATX・LPA受容体発現と臨床像に関する検証 膵癌患者血液中のオートタキシン濃度を測定する。さらに、超音波内視鏡下生検法(EUS-FNA)にて採取され、病理組織学的に膵癌と診断された病理検体を用いてATXおよびLPA受容体の免疫染色を行い、腫瘍内発現の検討を行う。外科切除が施行された症例では外科切除標本に対して免疫染色を行い、腫瘍内・および切除組織の周囲組織におけるATX・LPA受容体発現について解析する。解析から得られた発現レベルと、臨床結果の関連性につき検討を行う。 ①について、LPAの前駆体であるLPCを刺激投与することで、癌細胞由来のATX発現を誘発できることが新たに明らかとなった。そこでLPC投与下にATX阻害剤の効果の検証が可能となり、in vitroの実験(増殖能・浸潤能評価)を行った。これにより、in vitroでのATX阻害剤の有用性が立証できた。in vivoでは、マウスの数を追加してATX阻害剤を用いたマウス移植モデルに対する効果を検証した。投与により有意に腫瘍増大の抑制に成功し、増殖能の制御・シグナル伝達の制御ができていることもマウス内腫瘍検体を用いて確認できた。また、マウスに生じた腹水を回収し腹水中のオートタキシン濃度を計測したところ、腫瘍のサイズに比例してオートタキシン濃度が変化することを突き止めた。これらの結果を踏まえ、論文を作成し、現在投稿中である。抗癌剤に対する上乗せ効果については現在も検証中であり、当科研費研究期間を一年延長して実験継続している。 ②について、免疫染色の条件設定に難渋し、本件についても期間を延長し目下実験継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
In vitroの実験は、昨年度に遅れた分をおおよそ取り戻すことはできたが、抗癌剤耐性に関する実験は年度をまたいで検証が必要となった。 動物実験での再現性の検証に時間を要した。ATX阻害剤治療群では、薬剤による腫瘍縮小効果が顕著な結果、マウスからの播種結節の回収に難渋するという点も検証に時間を要した一因である。 臨床検体を用いた解析では、免疫染色の条件が整わず、条件設定に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
現在ATXのマウスモデル実験について論文作成したところであり、投稿準備中(5月中に投稿予定)である。持ち越した次年度中に論文acceptをねらう。本研究は国際学会にも複数submit済みであり、次年度に発表する。 上述のごとく、抗癌剤耐性に関するin vitro実験・臨床検体を用いた検証実験を次年度内に遂行する。研究自体の計画の変更は必要ないが、難航している臨床検体を用いた実験・解析方法については、他の研究機関の研究者からの助言もいただけるよう調整進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の遅れのため、次年度での実験遂行のため、持越し資金を要した。 研究成果に関する論文投稿・学会発表にあたり、それらに関わる費用も次年度に支払い予定である。
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