研究課題
本研究ではIgG4関連疾患の胆膵病変である自己免疫性膵炎(AIP)とIgG4-関連硬化性胆管炎を中心に、自然免疫系異常と線維化を解析するために、患者病変部に浸潤する自然免疫系細胞の解析を行った。文書にて同意の得られたAIP症例20例を対象とし、アルコール性慢性膵炎20例、特発性慢性膵炎20例、健常人20名の患者末梢血を採取し、自然免疫系細胞について、主に活性化好塩基球、自然リンパ球(innate lymphoid cells)、Mucosal-associated invariant T cell (MAIT細胞)、樹状細胞、単球、M2マクロファージをサイトカインプロファイルとともにフローサイトメトリーを用いて解析した。その結果、切除標本の病変局所ではTLR-7陽性のM2マクロファージと好塩基球が優位に浸潤しており、線維化、Th2免疫反応に関与している可能性が示された。末梢血のフローサイトメトリー解析ではILT-2+/ILT-3+Mo、MAIT細胞(CD3+CD8+TCRVα7.2+CD161+IL18R+IL12R+)や自然リンパ球ICL-1, 2, 3 細胞(leanage-CD125+CRTH2+)の優位な増加を認めた。さらにM2マクロファージの上流に位置するとされる好塩基球が存在し、TLR2もしくはTLR4シグナルを介して反応していることが明らかになった。また、Tregの関与する抗原特異的胸腺摘出自己免疫性膵炎マウス、自然免疫系の関与する自己免疫性膵炎マウス、疾患関連抗原特異的IgE-CAIマウスの作成を行い、疾患に類似の炎症所見を膵、胆管、唾液腺などにみとめ、末梢血、病理学的な検討を行っている。
2: おおむね順調に進展している
本研究ではIgG4関連疾患の胆膵病変である自己免疫性膵炎(AIP)とIgG4-関連硬化性胆管炎を中心に、自然免疫系異常と線維化を解析するために、患者病変部に浸潤する自然免疫系細胞の解析を目的に、現在、本症患者末梢血における自然免疫系細胞について、主に活性化好塩基球、自然リンパ球(innate lymphoid cells)、Mucosal-associated invariant T cell (MAIT細胞)、樹状細胞、単球、M2マクロファージをサイトカインプロファイルとともにフローサイトメトリーを用いて解析中であること、また、現在アレルギーモデルマウス(TNP-IgEマウス)を用いた動物モデルを作成中であり、研究全体としてはおおむね順調に進展している。
アレルギーモデルマウス(TNP-IgEマウス)を用いた動物モデルを作成し、患者末梢血のデータを基に自然免疫系細胞の動態について免疫染色法、フローサイトメトリーを用いて検討する予定である。。線維化については、切除標本と動物モデルにおいて線維化に関与する線維芽細胞、膵星細胞を細胞のsmad2/3リン酸化抗体を用いて免疫組織化学法により検討する予定である。検討しえた切除例ではsmad2/3Lのリン酸化が亢進していることが確認できており、さらに検討症例を増やし検討する予定である。今後は、臨床例とマウスモデルの解析を通してIgG4関連疾患における自然免疫反応の役割を解明する予定である。またmad2/3リン酸化を介するTGFβシグナル伝達系と繊維化の解析から繊維化の機序についても検討する予定である。
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