研究課題/領域番号 |
17K09471
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
松崎 潤太郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (60464864)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膵がん / マイクロRNA |
研究実績の概要 |
本研究は、初代分離培養した膵外分泌細胞に対して低分子化合物を曝露させ、in vitroでパーシャルリプログラミングを行って膵前駆細胞を樹立し、この細胞に胆汁酸によるストレス刺激を与えることで膵発がん初期の環境をin vitroでモデル化し、膵発がん超初期のバイオマーカーとなるmicroRNAの同定を試みるものである。我々はラットおよびマウスの膵外分泌細胞を用いて、特定の低分子化合物のコンビネーションが膵前駆細胞を誘導することを見出したが、一方で誘導された膵前駆細胞の性能を、Pdx1やNkx6.1といったマーカー分子で評価したところ、実験ロットによって均質でないことを見出した。そこでsingle cell sortingによって、膵前駆細胞としてより機能的に優れた細胞のクローン化を試み、これに成功した。驚くべきことに、この膵前駆細胞は特定の培養環境下においてインスリンを分泌する細胞にも分化し得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオマーカー候補となるmicroRNAの同定はmicroarray解析を採用する方針であるが、高額な解析であるため、より信頼度の高いデータを得るための詳細な事前検討を実施し、これに当初の計画よりも時間を要した。方針の変更を要するような問題は生じておらず、順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度における詳細な検討により、膵発がんハイリスク環境モデルを樹立するための膵前駆細胞の性能が、当初の見込みに比べ格段に向上した。2018年度はこの細胞系に対する胆汁酸曝露を実施し、上清中に含まれるエクソソームを分取し、胆汁酸濃度依存的に変動するmicroRNAの同定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
一般的な実験用消耗品の購入の必要額に満たない(1万円以下)残額に関しては、次年度と合算し研究計画を引き続き遂行する予定である。
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