研究課題
本研究は膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm; IPMN)に関連して発生した膵癌を含む膵癌外科切除材料(ヒト組織・細胞リソース)を用いて、KRAS変異に続く第二のドライバー遺伝子であるGNAS変異に伴う膵発癌分子機構の解明を目的とした。2018年度までに行ったIPMN関連膵癌の外科切除材料を用いた分子病理学的な解析によって、膵癌発生に至る複数の分子サブタイプを見出した(Gastroenterology 2019)。2019年度には、本知見をさらに発展させるべくIPMN術後の異時多発病変に着目したクローン解析を行った。その結果、胆膵型IPMNが残膵再発を来しやすく、これらではGNAS変異を伴わないケースが多く、膵管を経路とする腫瘍細胞の「播種」が高頻度に生じることを明らかにした(Mod Pathol 2019)。さらに、変異型KRASおよびGNASを持つヒトIPMN関連膵癌由来の初代細胞を取得し、変異型GNASの下流経路と腫瘍形質への影響を明らかにするため、ゲノム編集によりGNAS変異を野生型へと改変する実験を行った。これらのゲノム編集細胞ではGNAS変異細胞に比較して、粘液形質と腫瘍の代謝経路、オルガノイド増殖に顕著な表現型の違いが生じることを見出した(論文投稿準備中)。得られた知見は、IPMNを背景として発生する膵癌進展ルートの層別化と発癌リスクの予測に役立つと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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