研究実績の概要 |
Serrated pathwayは大腸癌の主な発癌経路の一つであり、予後不良な発癌経路として知られている。一方で、鋸 歯状構造を有する腫瘍である鋸歯状腺腫からの大腸癌は全てserrated pathwayの様式をとって発癌するとは限らない。このため鋸歯状腺癌由来の癌はserrated pathwayだけでなく様々な経路によって癌化していると考えられるので、鋸歯状腺癌のなかで予後不良な発癌経路に関する内視鏡所見、病理組織所見、分子生 物学的特徴やゲノム変異を明らかにするために本研究を行なった。前年度までの研究にて鋸歯状腺腫由来の癌のなかで予後不良群の特徴を病理組織所見や内視鏡所見、ゲノム変異などから体系的に解明するため、病理組織所見、分子生物学的特徴やゲノム変異について解析を行い、早期鋸歯状腺癌は分子生物学的に異なる3群に分類され,各群で臨床病理学的および遺伝子学的に相違があることを見いだした。さらに癌部と腺腫で遺伝子変異の頻度について比較したところ, KRAS/BRAF 変異の蓄積が, もっとも予後の悪いタイプ(80.0%)は もっとも予後の良いタイプ(21.4%)と比較した有意に多かった。本年度はこの結果を検証するために内視鏡で切除した鋸歯状腺腫からオルガノイドを作成して、KRASやBRAFのノックアウトを行い、proliferation assayやmigration assayを行い、さらに免疫不全マウスにwild typeのオルガノイドとノックアウトしたオルガノイドを移植して自然経過を見ることを試みた。しかし現在までのところ有意と言える結果は出ていない。
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