研究課題
GnP療法が施行された膵癌75例の超音波内視鏡下生検(EUS-FNA)病理組織検体を用いてclassⅢβ-tubulin(TUBB3)染色を施行し、TUBB3の発現とGnP療法の治療効果や無増悪生存期間(PFS)との関連性につき検討を行った。病勢制御率(DCR)は、TUBB3陰性群において有意に高値であり、無増悪生存期間(PFS)もTUBB3陰性群において有意に延長し、PFSにおける多変量解析においても、TUBB3発現(hazard ratio, 2.41; p=0.026)が独立した関連因子であることを明らかにし、結果を英語論文(Hum Pathol. 2018;74:92-98.)として報告した。この結果により、TUBB3発現がGnP療法の効果予測因子になり得る可能性が示唆されたが、TUBB3発現がGnP療法以外の化学療法の効果予測因子である可能性や膵癌の予後不良因子である可能性もあるため、GnP以外の化学療法におけるTUBB3発現と化学療法の治療効果や予後との関連性を検討する必要があると考えた。次に、First Line としてGnP療法を施行した78例とFFX療法を施行した33例を対象とし、TUBB3の発現とGnP及びFFX療法における奏効率(RR) 、DCR、PFS及び全生存期間(OS)との関連性につき検討した。GnP療法の78症例では、TUBB3低発現58例(74.4%)、高発現20例(25.6%)であり、 RRに差は認めないものの、 DCRはTUBB3低発現群において有意に高率であった(79% vs. 50%; p=0.026)。またPFSやOSもTUBB3低発現群において有意に延長した(log rank test, p=0.023, p=0.005).一方、FFX療法の33例においてはRR、DCR、 PFS、OSいずれの項目においても差を認めず、TUBB3の発現はGnP療法における治療効果予測因子として有用であると考えられた。この結果を英語論文(Pancreas. 2022;51:372-379.)として報告した。
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