研究課題/領域番号 |
17K09482
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
竹内 利治 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10372278)
|
研究分担者 |
長谷部 直幸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30192272)
蓑島 暁帆 旭川医科大学, 医学部, 特任助教 (90645962)
木谷 祐也 旭川医科大学, 医学部, 特任助教 (10804809)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 急性心筋梗塞 / 再灌流障害 / 熱ショック蛋白 / ポストコンディショニング / ヒートコンディショニング |
研究実績の概要 |
初回急性心筋梗塞症例を対象に、コントロール群とヒート・コンディショニング群の2群に無作為に割り付けた。ヒート・コンディショニング群では、カテーテル検査室に入室後直ちに下腿~足部をスマーティレッグホット(フジカ社製)を用いて40分間加温(40~42℃)する。この間に、カテーテル検査の準備、消毒、シース挿入、冠動脈造影、カテーテル治療の手順で行い、再灌流治療の遅れがないように心がける。その後緊急冠動脈造影を行い、閉塞病変を確認し、引き続き経皮的カテーテル治療を行った。ガイドワイヤーを通過させた後、バルーンによる1分間の拡張と30秒以内の再灌流を4回繰り返すポストコンディショニングを行い、最終的に適切なサイズのステントを留置した。一方、コントロール群では、従来通りのバルーンによる前拡張後にステント留置を行った。両群ともに再灌流治療の前後で経時的に採血を行い、分離白血球中のHSP72発現量(HSP72抗体(DAKO社)・フローサイトメトリー法)を定量的に評価した。発症1週間以内の急性期に201Tl (TL)および123I-BMIPP (BMIPP)心筋SPECT、さらに6カ月後の慢性期に再度TL SPECTを撮像し、心筋救済率を算出した。心臓MRIは発症14日以内と6ヶ月後に撮像し、ガドリニウム遅延造影の局在性および壁内深度について評価した。また、再灌流による微小循環障害に対しては、ST resolution、Myocardial blush gradeの比較検討を行った。予後については1年間の心事故発生率を調査する予定である。 現在は症例数が少なく、十分な比較検討ができていない。またヒートコンディショニング法については煩雑性とカテーテル治療の障害になることが問題となる事例が生じ、今後方法の一部を変更する必要があり、現在検討中である。まずは症例数の増加により、本方法の有効性を示す結果がでることを期待したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒートコンディショニング法はコメディカルとのチームワークが重要である。現在我々はハートチームを結成しており、ミーティングなどを通じて理解している。フローサイトメトリーによるHSPの測定などは特に問題ない。しかしながら、対象は急性心筋好悪側患者であるため、症例のリクルートには限界があり、発症時間や合併疾患の存在で除外される患者も多く、症例の蓄積が不十分であることが進捗の遅れの最大要因である。よって現時点で中間報告できる症例数には達しておらず、今後絶局的な患者の受け入れを検討する。 また、ヒートコンディショニングについては、スマーティレッグホット(フジカ社製)を使用した際に、カテーテル台の一部を大きく占拠してしまうために、カテーテル治療が煩雑になった場合などデバイスの置き場所に困り、さらにIABPなどを挿入する際には邪魔になるため外さざるを得ない。それによりスムーズな手技の進行に支障が出た症例を経験した。そのため加温法については再検討をすることにし、現在ヒートコンディショニングはストップしている。
|
今後の研究の推進方策 |
現時点で中間報告できるほどの症例数はいない。そのため地域の病院や地方の関連病院にアナウンスし、積極的な患者の受け入れを検討する。 ヒートコンディショニング法にて使用するスマーティレッグホット(フジカ社製)は、カテーテル台の一部を大きく占拠してしまう。そのため代替品としてベアーハガー体温管理製品(3M社製)を検討している。まずは本製品によりHSPの上昇が得られるか否かを評価する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ヒートコンディショニングを行うためにスマーティレッグホット(フジカ社製)を購入する予定であったが、ベアーハガー体温管理製品(3M社製)としたため、予定より定価に抑えられた。 今年度と同じように消耗品、HSP測定試薬、フローサイトメトリー維持費、事務用品の購入を考えている。中間報告のための学会参加や本研究に関連する最新治験を得るための国内ならびに海外学会参加も計画しており、その旅費にも使用する。
|