研究実績の概要 |
ボディマス指数で判定される肥満は, 小児においても心血管系及び代謝系障害の危険因子とされている. ボディマス指数が正常であるが, 体脂肪率が高い状態を「隠れ肥満」といい, 成人では肥満と同様に、メタボリック症候群と関連するとされるが, 小児おける知見はない. 本研究では, 1) 体脂肪率が高いほど小児におけるメタボリック症候群の頻度が増加する, 2) 小児「隠れ肥満」例は正常体格例と比較して心血管系及び代謝系障害の指標に異常を認める, という2つの仮説を検証する. 本研究により「隠れ肥満」が心血管系及び代謝系障害に関連することが判明すれば, 検診体制の変更,「隠れ肥満」例の健康面に関する認識の啓発, 更には食事・運動・薬物療法への発展が期待される. 平成29度は研究対象となる症例の問診・総合的身体測定 (ボディマス指数, 腹囲, 臀囲, 除脂肪体重, 体脂肪率)・生理学的検査・血液生化学検査 (総コレステロール, 中性脂肪, 高密度リポ蛋白コレステロール, 低密度リポ蛋白コレステロール, アポリポ蛋白質A1, アポリポ蛋白質B, インスリン産生能, インスリン抵抗性, レプチン, 高感度C反応性蛋白)・断層超音波検査 (左心室拡張末期容積, 左心室心筋重量, 1回心拍出量, 動脈コンプライアンス, Tei index, 頸動脈内膜中膜複合体厚) を施行した. 秋田大学医学部附属病院小児科を受診あるいは検査目的で入院した症例が対象となる.
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今後の研究の推進方策 |
前年度と同様に検査を継続し, データ量を増加する. 目標症例数への到達が困難な場合, 当院と連携関係にある県内の医療機関を受診中の症例を追加対象とする. 正常対照群が不足する場合は, 医療圏内の小学校, 中学校, 高等学校でボランティアの募集を行う. 当院受診者以外のデータ収集に際しては, 研究者が各医療施設へ赴き施行し, 正常ボランティアでは当施設へ来院していただく予定である.
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