研究課題/領域番号 |
17K09485
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小池 朗 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60234655)
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研究分担者 |
佐藤 明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30528469)
青沼 和隆 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10375488)
河本 浩明 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00400713)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性心不全 / 心臓リハビリテーション / ロボットスーツ |
研究実績の概要 |
計画1)健常者におけるHALの呼吸循環系への負荷軽減効果の評価 健常者10名を対象とし、エルゴメータを用いた自転車こぎ運動負荷を、両脚用HALを用いた状態と両脚用HALを用いない状態で計2回施行した。その結果、中等度の運動負荷においては、HALによる呼吸循環系への有意な負荷軽減効果が認められた。以上の結果を国際学会で発表するとともに原著論文として報告した。立ち座り動作における腰用HALの有用性を検証すべく、健常者12名を対象として、中腰状態と立位を繰り返すスクワット運動(3分間)を、腰用HALありと腰用HALなしで、計2回行う研究を施行した。その結果、腰用HALを用いることで、運動中の心拍数と酸素摂取量が有意に低下し、スクワット運動時の呼吸循環系に対する腰用HALの有効性が示された。以上の結果を国内外の学会で発表するとともに、原著論文としてまとめた(現在投稿中)。 計画2)起立困難もしくは通常の歩行が困難な心不全患者におけるHALの使用方法の考案・開発とその有効性の証明 自力では起立困難な患者、もしくは通常速度の歩行が困難な慢性心不全患者において、腰用HALの有用性を検証する研究を行った。具体的には、これらの心不全患者をランダムにHALあり群とHALなし群に分け、HALあり群は腰用HALを装着し、HALなし群はHALを用いずに、各々医療従事者の介助下で手すりにつかまりながら坐位と立位を繰り返す運動を、1日あたり5~30分間程度、週3~5日を目標として行った。2019年3月の時点で計26例が登録されており、中間結果として、HALあり群の方は運動療法終了時に、大腿筋厚、大腿伸展筋力、BNPの有意な改善を認めたが、HALなし群ではこれらに有意な変化を認めなかった。以上の結果を国内の学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画1)の「健常者におけるHALの呼吸循環系への負荷軽減効果の評価」の課題のうち、エルゴメータを用いた運動負荷における両脚用HALの有効性に関しては、既に原著論文として公表済みである。立ち座り動作における腰用HALの有用性に関しては、データ収集、解析、論文作成が既に完了しており、現在英語原著論文として投稿中である。 計画2)の「起立困難もしくは通常の歩行が困難な心不全患者におけるHALの使用方法の考案・開発とその有効性の証明」に関しては、計26例が登録完了し、新規症例のエントリーも順調に推移している。また、登録された症例のフォローアップ(イベント発症の調査)も遅滞なく行っている。
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今後の研究の推進方策 |
計画1)健常者におけるHALの呼吸循環系への負荷軽減効果の評価 立ち座り動作における腰用HALの有用性に関する研究成果を、今年度中に原著論文として公表する。 計画2)起立困難もしくは通常の歩行が困難な心不全患者におけるHALの使用方法の考案・開発とその有効性の証明 2019年3月の時点で、起立困難症例と通常歩行困難症例を合わせて計26例が登録されている。そのうち起立困難症例の登録はまだ3例のみであるが、3例の結果から起立困難症例におけるHALの有効性の証明は困難と判断されるに至った。したがって今年度は、通常歩行困難な症例(現在23例登録済み)に焦点をあてて、今年度中に目標の30例の登録(7例の新規登録)を目指す。また、登録された症例のフォローアップ(イベント発症の調査)も継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、情報収集のための国内旅費と外国旅費への支出が予定より少なかったため、次年度使用額が生じた。この金額は、次年度に予定している国内外の旅費とともに「計画2)起立困難もしくは通常の歩行が困難な心不全患者におけるHALの使用方法の考案・開発とその有効性の証明」の研究を遂行するための費用に充当する予定である。
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