初代心房筋培養細胞と線維芽細胞、あるいは心房筋細胞株HL-1細胞と線維芽細胞を平面電極上に混合培養し、高頻度ペーシング、イソプロテレノール添加、あるいはアンジオテンシンII添加による電気生理学的特性を多電極アレイを用いて記録した。イソプロテレノールあるいはアンジオテンシンII添加群の混合培養細胞では活動電位持続時間の変化が認められ、一部に遅延後脱分極 (delayed after depolarization: DAD)が認められた。また、異常興奮が認められた細胞群では、細胞内カルシウム過負荷を示し、カルシウム調節関連分子の発現変化が認められた。心房筋混合培養における活動電位持続時間・細胞伝導時間の抑制を指標に化合物ライブラリー(抗不整脈薬、受容体拮抗薬、標的分子化合薬、免疫抑制薬など)のスクリーニングを行い、電位の消失・抑制に有効な標的を探索し、異常電位を消失させる作用を有する天然化合物を見出した。高脂肪食を4週間給餌したマウスでは、通常食マウスと比較し、内臓脂肪・皮下脂肪の蓄積、アディポサイトカインの発現亢進が認められた。心房からの遅延後脱分極からの誘発活動の亢進、心房細動誘発率・持続性の亢進が認められ、化合物の投与により心房細動誘発率・持続性の抑制が認められた。同様に、浸透圧ミニポンプによるアンジオテンシンII持続投与によって、左心房拡大、心房細動誘発率・持続時間の延長、および心房線維化増大が認められたが、化合物投与によって心房有効不応期を回復させ、心房細動誘発率・持続時間を抑制するとともに、心房線維化も抑制した。
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