研究課題
人口の高齢化にともない心不全患者さんが増加していることに注目が集まる一方、若年の重症心不全患者さんも未だに多く、心臓移植やその待機期間を補助人工心臓で過ごす患者さんの件数が年々増加している。若年者の心不全は左室収縮機能障害であり、左心室の内腔が拡大して十分に収縮できなくなることを、左室「リモデリング」と言う。種々の治療により、拡大した内腔が正常に近づき、収縮が回復することを「リバースリモデリング」というが、どのような患者さんで「リバースリモデリング」が得られるかをあらかじめ予想することはできない。これまでの研究、そして今回の研究をとおして、心拍数が速いときには、心臓が収縮したあと十分な待機期間がないまま次の収縮を行うことになり、そのときにも十分な収縮力が得られる心臓と、十分な収縮が得られない心臓があり、とくに後者では、収縮力が強い心拍と弱い心拍が交互に繰り返される「交互脈」がみられ、「リバースリモデリング」にともなって「交互脈」が出現しなくなる例を、これまでは心臓内腔にカテーテルを挿入する心臓カテーテル検査を用いて示してきた。今回は心臓カテーテル検査をではない非侵襲的な方法を探索しており、心エコー図による検討でも「交互脈」を示すことができてきており、「交互脈」の消失と「リバースリモデリング」の関連を示せる体制を作らせていただけた。心エコー図検査のみでなく、非侵襲的に血圧を測る方法を検討して、若年者のみならず高齢者でも左室収縮機能障害の治療に結びつくようさらなる研究を継続する体制が整いつつある。論文としては左室収縮機能障害研究の一環として得られたものを挙げさせていただく。
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Sci Rep .
巻: 11 ページ: 6722
10.1038/s41598-021-86209-y.