冠攣縮性狭心症の病因として遺伝的背景が存在していることが知られている。これまで冠攣縮性狭心症の疾患感受性遺伝子の変異の解析は孤発性発症例を対象にして行われてきたが、極めて稀であっても家族性発症の原因遺伝子がわかれば,孤発性症例の遺伝因子について効率よくアプローチできる。今回の研究では、申請者らが有する冠攣縮の家族内集積性を持つ家系のDNA サンプルを用いてエクソーム解析を施行し、冠攣縮の疾患感受性遺伝子の変異を網羅的に解析する。検出した遺伝子変異を用て、一般的な冠攣縮例である孤発性発症例における新規の遺伝子診断法の開発を目指す。 現在までに、冠攣縮性狭心症が疑われ、アセチルコリン負荷試験を行った563例の血管攣縮反応と臨床データとの関連の解析を行っている。冠攣縮の程度と臨床データとの比較では、年齢・性別・喫煙率において冠攣縮陽性群で高い傾向がみられた。家族歴調査においては、冠攣縮陽性群において1割に冠動脈疾患家族歴を認めたが、家族歴と臨床データとの関連は明らかなものを認めていない。従来の危険因子とは関連のない、遺伝的背景の存在が考えられた。 家族内発症例に対する遺伝子解析では、冠攣縮性狭心症を有する一卵性双生児の一家系の遺伝子検索を行っており、現在解析中である。今後は、別家系の調査も引き続き行い、遺伝子解析を進めるとともにそこで得られた遺伝子変異と弧発例との関連について、解析を行っていく。
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