研究課題
冠攣縮性狭心症の病因として遺伝的背景が存在していることが未だ不明である。動脈硬化は冠攣縮を促進すると考えられるが、過去の報告によれ ば冠攣縮は冠動脈が正常またはほぼ正常の部分で起きやすいとされている。この乖離について 未だわかっていない部分が多く、遺伝的背景を含めた通常の動脈硬化プロセスとは異なる因子 が影響している可能性がある。今回の研究では、冠攣縮性狭心症が疑われ、アセチルコリン負荷試験を行った563例の血管攣縮反応と臨床データとの関連の解析を行った。冠攣縮の程度と臨床データとの比較では、年齢・性別・喫煙率において冠攣縮陽性群で高い傾向がみられた。冠攣縮陽性例について脂質パラメーターを家族歴の有無で比較検討を行うと、家族歴陽性例においては、ApoCIII/CII が有意に高い結果となった。冠攣縮陰性例での冠動脈疾患家族歴の有無では有意な差は認めなかった。冠攣縮 を有する一卵性双生児と非発症の血縁者の比較では、明確な臨床危険因子の差は認めなかった。また、心筋梗塞既往のある32例に対して、左冠動脈前下行枝へのアセチルコリン投与とそれに引き続く OCT での病変観察では、冠動脈攣縮反応は中膜の増大とともに増大するが、内膜については一定量を超え ると減少する結果となった。このように攣縮の 出現メカニズムに関しては、冠動脈中膜の増殖が重要であるこ とが明らかになった。しかしながら、本研究では中膜増殖に関する遺伝的因子にについては明らかな ものは認 めなかった。
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