研究実績の概要 |
虚血性心疾患患者において、1. 運動療法・心肺機能と、予後との関連を調査、2. 冠動脈プラークの組成と心肺機能などと関連性が深いとされるマイオカイン・脂質パラメーターなどのバイオマーカーとの関連についての検討を行うのが本研究の目的である。 昨年までに、経皮的冠動脈形成術を施行した急性心筋梗塞患者において、心肺運動負荷試験(CPX)にて評価した心肺機能が低下している群において、慢性期の心血管イベントが有意に高い結果が得られた。以前我々は心肺機能が低下している患者では冠動脈が不安定化していることを発表しているが、その予後にも大きく影響していることを明らかとしている。また、骨格筋から分泌される様々なマイオカインと冠動脈プラークの「質」との関連を血管内超音波で検討し、冠動脈左主幹部において、irisin濃度が低いと、高い群と比較した場合に不安定病変になっている可能性を発見した。 我々がPCIと共に重点を置いている重症大動脈弁狭窄症(AS)に対するTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)を行った患者に対する検討として、TAVI施行によりASを解除することで栄養状態が改善することなどを報告(Tobe A, et al. J Cardiol. 2021;78:250-254.)した。 COVID-19流行のため、十分なフォローアップ検討が行えない状況にあったが、今後、i) 心肺機能とマイオカインとの関連、ii) 運動や筋肉量が増加することのよりマイオカインが上昇するのか、iii) 心肺機能やマイオカインが上昇した際に、冠動脈・頸動脈プラークの退縮や組織が変化するのかなどについて更に検討する必要がある。
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