研究課題/領域番号 |
17K09499
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
渡邊 敦之 岡山大学, 大学病院, 講師 (50766441)
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研究分担者 |
森田 宏 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50322227)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 成人先天性心疾患 / 不整脈 / MACE / 心電図指標 / 経皮的カテーテル心筋焼灼術 / スコアリング / 予後 |
研究実績の概要 |
岡山大学循環器内科における成人先天性心疾患(Adult Congenital Heart Disease:ACHD)症例で、特に入院加療を要した症例の抽出を行った。研究の目的が心臓突然死や心不全発症などの重篤な心血管イベント(Major adverse cardiac event : MACE)の予測であったため、MACEと密接に関連する重篤な不整脈の有無が研究上、重要と判断した。抽出症例において、不整脈を有する症例と有さない症例での比較検討を行う方針としたが、ACHDの中には、未手術症例、術後症例、術式、基礎疾患の違い、年齢、罹患期間の差など相違点が多くあり、症例数は減じるが疾患、病態を分類、区別し、各々の症例で検討する必要性があることが判明した。また、いわゆる心機能低下による末期重症心不全症例も昨年は多数存在し、発症時期など多数の問題も浮上した。薬物抵抗性、もしくは術前に頻発する不整脈を有する症例においては経皮的カテーテル心筋焼灼術を施行する症例も多く、それらの症例ではより詳細な心腔内電気情報を得ることが可能であった。現在、ACHD症例でのアブレーション症例数は、年間約30症例と昨年より増加傾向で国内でも有数の治療実績となっている。それらの心腔内情報と体表から得られる心電図情報を組み合わせることで詳細なデータを得ることができる。アブレーション施行症例において、罹患年数によって伝導異常、障害範囲が大きく異なることが判明し、非常に有用であった。このことはアブレーションによる治療介入時期が臨床上大変重要である。今後については、更に、他の種々の心電図指標と臨床的情報を比較検討し、スコアリング化する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例のデータベース構築、及び、大きな流れを形成することが昨年度の最大の目標であった。 臨床情報、心電図等の資料を集積し、加算平均心電図、PQ,QRS,QT,RR,またfragmented QRS等のそれぞれの指標を解析することになる。 ここで、進捗に影響を及ぼす問題点をいくつか挙げる。①2000年以前の症例も多くあり紙媒体でのカルテからの集積作業となるため、資料欠損が多く存在する。②症例が他院での経過観察のため経過不明の症例も多く、予後調査が困難である。③基礎心疾患の種類が多彩であり、治療歴、方法等の患者背景も異なるため分類精査が必要である。 現時点での基礎疾患においては、心房性不整脈症例においては修正大血管転位、単心房単心室症例、Ebstein奇形が多く、心室性不整脈においてはファロー四徴症症例がほとんどであった。 今後は、各疾患ごとでの詳細なデータ分析を行い、統計的解析からのスコアリング化を目標とする。
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今後の研究の推進方策 |
予想以上の紙媒体での処理、及び解析、また膨大なデータ入力等の負担の分散が必要である。また資料欠損も多く存在する。そのため、推進方策としては更なる人的な介助が必須であると考える。また、個々の課題の対応策としては、 ①2000年以前の症例も多くあり紙媒体でのカルテからの集積作業となるため、資料欠損が多く存在する。→紙媒体資料を全てPDF化し、プログラム導入にてデジタル処理での解析を可能とする。 ②症例が他院での経過観察のため経過不明の症例も多く、予後調査が困難である。→負担軽減目的で共同研究者との負担分散を強化する。 ③基礎心疾患の種類が多彩であり、治療歴、方法等の患者背景も異なるため分類精査が必要である。→細かく症例を分類し、より詳細な予測因子の解明を行うことができる。治療の種類による分類も考慮する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年同様計上していた解析用コンピュータは現存のもので代用可能であったため、次年度繰り越しとした。 次年度は統計解析ソフト購入及び高機能パソコン、モバイル購入を予定している。また、該当症例が少なく、現在までまとまった報告が少ないため情報収集のための海外を含めた出張旅費等に使用する予定である。
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