研究課題
①研究期間中に、ブルガダ症候群(BrS)577症例の臨床データ、心電図の取得と心電図解析を行いデータベースを作成した。②先行研究のBrS心室細動(VF)リスク層別化モデルの検証を行い、更に精度の高いVF予測モデルを構築した。失神歴、V1 rJ interval、TpTe intervalが独立した予測因子であり、それらを組み合わせたモデルを構築すると、ROC解析で、AUC 0.711であった。このモデルを用いて臨床応用のためのノモグラムの作成を行った。③新たに無症候性ブルガダ症候群症例の中で突然死リスクの高い症例の層別が可能となった。VF既往を有した106名のBrS患者では、平均5.8年の観察期間中に50名(47.2%)にVF再発を認め、VF既往のない469名では、18名(3.8%)にVF発症を認めた。新規にVF発症した群(VF group)では発症していない群(non VF group)と比較し、失神歴が多く 、12誘導心電図でr-J interval in V1およびRR intervalの延長を認めた。多変量解析では失神歴(p<0.0001)と, rJ interval in V1(p=0.0025)に有意差を認め、2項目を用いて構築したロジスティックモデルではROC解析のAUC 0.858と良好なVF予測能を示した。④心電図自動解析の準備を行った。心電図データをノギスを使用して測定したものと、同心電図データを日本光電社の心電図を用いて測定アルゴリズムを開発し、自動測定したものの比較を行ったところ良好な結果であった。結局、心室細動既往のないブBrSの予測因子として残るのが失神歴とV1rJ intervalであり、V1rJ intervalの測定は熟練した医師でないと測る部位により誤差が出やすいので心電図自動測定は有用であると考える。
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