研究実績の概要 |
肺動脈性肺高血圧症の診断には右心カテーテル検査が必須である. スクリーニングに使用される心臓超音波検査では, 感度, 特異度ともに不十分である. ヒトPAHにおいてborder PH, non PH の群からPAH発症予測因子を同定するためには, PAHが発症したかどうかをより効率的に検出する必要があった. 我々は, 心肺運動負荷テストにおける呼気終末二酸化炭素分圧に注目して検討を行った. 結果, 心臓超音波検査における三尖弁圧較差と, 心肺運動負荷テストにおける呼気終末二酸化炭素分圧を併用することで, 感度, 特異度ともに十分な効率でPAHをdetectできることを報告した. また, これと平行して, まずはPAH症例の集約化を行った. 具体的には, 平成29年4月より平成31年3月までに, total 166例の肺高血圧症症例を当院に集約化した. 内訳は特発性肺動脈性肺高血圧症 21例, 遺伝性肺動脈性肺高血圧症 1例, 膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症 39例, 先天性心疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症 12例, 肺静脈閉塞症 5例, 肺疾患に伴う肺高血圧症 13例, 左心疾患に伴う肺高血圧症 1例, 遺伝性出血性毛細血管拡張症に伴う肺高血圧症 1例, HIV感染に伴う肺動脈性肺高血圧症 1例, 慢性血液透析に伴う肺高血圧症 3例, 薬剤性肺動脈性肺高血圧症 7例, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 62例であった. 膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症のみの解析では, 症例数が不十分であり, 今後の解析はこれら全ての症例を対象として行う方針としていた.
|