研究課題/領域番号 |
17K09504
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岡村 誉之 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (70380011)
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研究分担者 |
南 和幸 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (00229759)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 虚血性心疾患 / 冠血流予備量比 / 数位流体力学 / 分岐部病変 / 薬剤溶出ステント |
研究実績の概要 |
平成29年度は、金属製DESを用いて治療した分岐部病変の治療後1年目のOCTデータとプレッシャーガイドワイヤー(PGW)による側枝の冠血流予備量比(FFR値)を収集し、数値流体力学解析(CFD)で求めたFFR値(CFD-FFR)と比較する予定であった。しかし、当初使用する予定であった操作性に優れるボストンサイエンティフィック社製PGWが使用できなくなった。代わりに他社製PGWで側枝のFFR測定を試みたが、本PGWを抜去する際にステントストラットに引っかかり側枝から抜去困難となる症例があった。本PGWはボストンサイエンティフィック社製に比べ操作性が劣り、ステント越しに側枝に挿入するのは、ステントを変形させてしまうリスクが高いと判断し、本PGWを用いて側枝のFFR値を測定することは断念した。 このため、平成30年度に予定していた側枝入口部面積の経時変化の検討を前倒しで行うことにした。側枝入口部面積は治療直後と慢性期で比較すると平均4.8%の縮小が見られた。これらを側枝拡張を行いストラットを排除できた群、排除できなかった群、側枝拡張を行っていないが入口部をステントが覆っていない群、覆っている群の4群に分けると、それぞれ8.8%拡大(n=20)、12.5%縮小(n=17)、16.2%拡大(n=34)、7.5%縮小(n=14)となり、側枝入口部にステントストラットが残存することが面積狭小化に関与している可能性が示された。 CFD-FFR値を求めるため、OCTデータから血管内腔を自動検出するソフトウエアを開発した。ボリュームレンダリングを行い、DICOMデータとして3D Slicerで読み込み解析対象となる血管内腔をセグメンテーションしSTL形式で保存する。STLを加工しANSYS FLUENTにロードする。ここまで確立し、現在、CFDを行うための条件設定などを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ステント側枝のFFRを測定するのに、初使用する予定であった操作性に優れるボストンサイエンティフィック社製プレッシャーガイドワイヤーが、ワイヤー断裂の事象が報告され使用できなくなった。他社製のプレッシャーガイドワイヤーを用いて試みたが、操作性に劣り、当院で検査した際に側枝から抜去する際にストラットに引っかかり側枝から抜去困難となる症例があった。このため本ワイヤーを側枝に挿入することはリスクがあると考え、現時点でプレッシャーガイドワイヤーを側枝に挿入してFFRを測定することは安全性に問題があり断念せざるを得なくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、CFD-FFRを算出する条件設定を確立する。現時点ではプレッシャーガイドワイヤーを側枝に入れることの安全性が確認できていないので、入口部面積変化とCFD-FFRを比較し、虚血となる側枝入口部面積のカットオフ値を求めることとする。 分岐部専用BRSのプロトタイプを作成し、分岐部模擬血管に留置実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ソフトウエア使用ライセンス契約金額に変更があったため。引き続き次年度以降もソフトウエアが使用できるようにライセンス料、旅費、BRS制作費、模擬血管制作費に使用予定である。
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